産業クラスター政策は3種類に区分-改造内閣の産業政策(2)-
(タイ)
バンコク発
2016年01月22日
タイ改造内閣の産業クラスター政策について、前後半に分けて解説する。前半は奨励対象分野と対象業種、クラスターが設置される県について。
<奨励分野や対象となる県が明確に>
タイ政府が2015年9月16日付の布告10/2558で発表したクラスター政策は、スーパークラスター、その他のクラスター、クラスター支援事業、の3種類に分けられている。このうち、スーパークラスターとその他のクラスターで奨励分野・事業と対象県が定められている。また、クラスター支援事業はスーパークラスターとその他のクラスターの対象県の中に立地し、対象分野を支援、奨励するとされている。
なお同布告で、クラスターは特別経済開発区(SEZ)の1つの形態として位置付けられている。
<「スーパー」は自動車関連など6分野>
1.スーパークラスター
○対象分野、対象県、対象事業
スーパークラスターとしての奨励対象分野は、自動車・自動車部品、電気・電子部品および通信機器、環境にやさしい石油化学・化学製品、デジタルの4分野と、食品の研究開発促進区(フード・イノポリス)、医療ハブだ。今回、これら6分野のうちタイ投資委員会(BOI)が所管する上記4分野について詳細が発表された(表1参照)。各分野について、対象県と対象事業が決められている。
○主要恩典
(1)8年間の法人税免除、さらにその後5年間法人税を50%控除
(2)機械の輸入税免除
(3)重要度の高い次世代事業に対しては、財務省が最長10~15年の法人税免除を検討中
(4)世界レベルの高度専門職で、指定地域において就業する者に対する所得税免除。タイ人および外国人も対象とする。財務省が詳細を検討中
(5)奨励事業を行うための土地取得を外国人に許可する
(6)世界レベルの高度専門職者に対して、永住権を与えることを検討
<「その他」は農産加工と繊維関連>
2.その他のクラスター
○対象分野、対象県、対象事業
スーパークラスター以外のその他のクラスターとしての奨励対象分野は、農産加工品、繊維・アパレル、の2分野だ(表2参照)。
○主要恩典
(1)通常の投資奨励恩典の法人税免税期間終了後5年間、法人税を50%控除
(2)機械の輸入税免除
(3)奨励事業を行うための土地取得を外国人に許可する
(4)世界レベルの高度専門職者に対して永住権を与えることを検討する
3.クラスター支援事業
○対象分野、対象県、対象事業
スーパークラスターまたはその他のクラスター内に立地し、各クラスターで規定された分野を支援すること。対象事業の詳細は添付資料の表3を参照。
○主要恩典
通常の投資奨励恩典の法人税免税期間終了後5年間、法人税を50%控除。
(長谷場純一郎)
(タイ)
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