イスラエルとのFTA交渉開始で合意

(ベトナム、イスラエル)

ハノイ発

2016年01月07日

 ベトナムはイスラエルと自由貿易協定(FTA)の交渉を開始することで合意した。政府ウェブサイト(2015年12月3日)によると、交渉の開始時期は未定だが、できるだけ早い時期に開始するとしている。政府は輸出の拡大とイスラエルからの投資の増大を狙う。

<貿易額の倍増を目指す>

 ベトナム政府ウェブサイトによると、イスラエルとは1993年に国交が樹立し、経済、科学、農業、貿易、観光、国防の各分野で協力関係にある。

 

 FTA交渉に関しては、ホアン・チュン・ハイ副首相がイスラエルの首都テルアビブでベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談し合意した。合意の中で、できるだけ早い時期に交渉を開始するよう関連省庁に指示すると言及している。

 

 ベトナム政府は、イスラエルとのFTAにより輸出の拡大と投資の増大を狙う。政府ウェブサイトによると、2014年時点の両国の貿易額は106,200万ドルで、そのうちベトナムからイスラエルへの輸出額は5億ドル。ベトナムの主な輸出品目は電話機、電子部品、水産物、コーヒー、繊維製品、靴で、輸入品目は機械・設備、ハイテク製品、肥料となっている。将来的に両国の貿易額を20億ドルに増やすことを目指すという。

 

<農業やIT分野への投資にも期待>

 投資についてみると、イスラエルからベトナムへは累積ベースで18件、3,900万ドルで、主な投資分野は紡績、化学、ソフトウエア、水産養殖などとなっている。ハイ副首相は会談で、イスラエル企業の投資を優遇する条件を設けると述べ、特に工業、農業、IT、電気通信、観光分野に期待を寄せている。

 

 例えば、イスラエルは農業に強みがあるとされ、2011年には両国の首脳会談で、農業分野の協力強化がうたわれていた。実際、現地報道によると、有機農産物を生産販売するベトナムのビン・エコ農業投資生産開発(大手不動産ビングループの子会社)が2015年、イスラエルのネタフィム、テシュバ・アグリカルチュラル・プロジェクト、日本のクボタとの間で、イスラエルと日本の農業用ハイテク技術の導入に関する覚書に調印している。

 

 ベトナムには、ソフトウエア開発を中心として日本と取引関係のあるIT企業が多い。世界的にも注目されているイスラエルIT企業の技術力への関心は高いと考えられる。

 

(佐藤進)

(ベトナム、イスラエル)

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