保健食品の登録審査が再び必要に

(中国)

上海事務所

2015年08月13日

 国務院常務会議は5月6日、さらなる行政の簡素化と権限の委譲、非行政許可審査の見直しなどの改革を進めることを決定した。2014年2月から登録審査が不要とされてきた保健食品は、再び審査が必要になった。

4月公表の新食品安全法に基づき決定>

 国務院常務会議は56日、さらなる行政の簡素化と権限の委譲、非行政許可審査の類別の見直しなどの改革を進めることとし、「保健食品の登録審査など20項目の手続きは審査が必要になるとして、非行政許可審査から外れる」ことを決定した。これまで審査が不要だった保健食品は、2015424日に公表された新食品安全法に基づき、「登録」または「届出」が必要になる。

 

 新食品安全法第74条では、「国家が保健食品に対し厳格な監督管理をする」とし、第76条では「保健食品原料リスト以外の原料を使用した保健食品および初めて輸入される保健食品は、国務院食品薬品監督管理部門に登録しなければならない。ただし、初めて輸入される保健食品のうち、ビタミンやミネラルなどの栄養物質を補充するものは、国務院食品薬品監督管理部門に届け出なければならない。その他の保健食品は省、自治区、直轄市人民政府の食品薬品監督管理部門に届け出なければならない」とあり、第152条では、「保健食品の具体的な管理方法は、国務院食品薬品監督管理部門が本法に基づいて制定する」とされている。

 

<これまでは審査不要の非行政許可>

 全国人民代表大会常務委員会は199510月に食品衛生法を公布し、その第22条で「特定保健機能食品は、その製品および説明書は必ず国務院衛生行政部門の審査を受けなければならない」と、保健食品は審査・承認が必要だと規定した。

 

 19963月に衛生部(日本の厚生労働省に相当)が「保健食品管理弁法」を公布し、衛生部が保健食品登録審査の受理機関となり、審査を開始した。製品の登録番号の頭には「衛食健字」を付けることとし、登録期間は無期限だった。

 

 19972月、国家技術監督局が「保健(機能)食品通用標準」(GB167401997)を公表した。さらに、1998年に衛生部が「保健食品良好生産規範」(GB17405)を公表し、保健食品の研究開発および生産についてのルールが整備された。

 

 20035月に衛生部が保健食品の審査を停止し、その役割を中国国家食品薬品監督管理局(SFDA)に引き継ぎ、同年10月、SFDAが登録審査を開始した。保健食品の審査規則は衛生部が定めていた規則を踏襲し、登録期間も無期限のままだった。ただ、登録番号の冒頭は「国食健字」となった。

 

 20057月、SFDAが「食品衛生法」と「行政許可法」を基に「保健食品登録管理弁法(試行)」を公布し、これに基づき登録審査の手続きや技術的な要求項目を調整した。登録番号の冒頭は依然「国食健字」だが、登録期間は5年間とし、期間満了日前に必ず再登録をしなければならないことになった。200961日、食品安全法が公布され、その第51条では「特定保健機能と称する食品に対しては、国が厳格な監督管理をし、具体的な管理方法は国務院より規定する」とされた。しかし、国務院が制定した「保健食品監督管理条例(草案)」は意見募集が実施されたものの、食品安全法の公布後も同条例は施行されていないため、保健食品の登録審査は「保健食品登録管理弁法(試行)」に基づき行われていた。

 

 2014217日、SFDAが中国国務院食品安全委員会弁公室と合併してできた中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)は登録に当たって審査を必要とする事項(中国語で「行政許可審査項目」)の目録を公開した。しかし、目録の29項目のうち、保健食品については「審査が不要」(中国語で「非行政許可審査」)とされていた。

 

 なお、国務院法制弁公室は、「保健食品登録と届出管理弁法」「保健食品標識管理弁法」「保健食品機能目録原料目録管理弁法」の草案を公表し、828日までパブリックコメントを公募している。

 

(呉秀媛)

(中国)

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