外貨取引センター、通貨バスケットに人民元指数を導入-米ドルレートに代わる新基準との位置付け-

(中国)

上海事務所

2015年12月28日

 中国外貨取引センター(CFETS、本部:上海市)は12月11日、13ヵ国・地域の通貨から成る通貨バスケットに対し、米ドルレートに代わる新たな基準として人民元レート指数を導入した。人民銀行(中央銀行)もこのCFETSの変更を認めた。中国政府は人民元の国際化に向けてレート形成における米ドルの影響力を弱め、人民元の独立性を強化する狙いだ。

<人民元売買の新基準に>

 CFETS(注)は1211日、傘下の通貨取引専門サイト「中国貨幣網」において、新しい基準指数として「CFETS人民元レート指数」、参考指数として「国際決済銀行(BIS)通貨バスケットに対する人民元レート指数」および「IMF特別引き出し権(SDR)通貨バスケットに対する人民元レート指数」を使用し始めた。これら3つの指数は、20141231日を基準値(100)としている。「CFETS人民元レート指数」は13ヵ国・地域の貿易加重平均で編成された通貨バスケットに対する人民元のレートの変動状況を反映しており、米ドルの加重は最大の0.2640、ユーロは2位の0.2139、日本円は3位の0.1468などとなる(表参照)。

 また、CFETSは同日、「中国貨幣網」に「人民元レート変動を把握するなら、通貨バスケットを使うべき」という論文を掲載し、人民元レート変動の基準を、対米ドルレートから「CFETS人民元レート指数」に変更することを明らかにした。人民銀行は同日、この論文を転載するかたちでこれを認めた。

 

<人民元の独立性を強める狙い>

 中国政府は人民元の国際化を図るため、通貨制度の改革を進めており、「CFETS人民元レート指数」はその一環として、人民元レートの形成メカニズムを変える措置とみられる。招商銀行・同業金融本部の劉東亮高級分析員は、「CFETS人民元レート指数」の使用は人民元レートの市場化を大きく推進し、人民元と米ドルとの緊密な連動を正式に終了させる象徴だとの見方を明らかにした。また、中国国際金融(CICC)の梁紅取締役と余向栄分析員は1214日、連名で見方を発表し、これからの人民銀行の人民元レートの調整方針について、通貨バスケットに対しては安定した変動幅になる一方、米ドルに対しては弾力性を増すだろうと予測している。

 

(注)人民銀行が管轄する公的機関で、銀行間の外貨取引市場の運営を担当する。本部は上海市にある。

 

(文涛)

(中国)

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