外資合弁企業の貿易取引、4品目に限り解禁

(ミャンマー)

ヤンゴン事務所、アジア大洋州課

2015年12月15日

 商業省は11月11日付通達(No.96/2015)で、外資企業に認めてこなかった貿易業をミャンマー企業との合弁企業に限り、肥料、種、殺虫剤、医療機器の4品目について解禁した。ミャンマーでは貿易取引は全て許可制をとっており、外資企業(外国企業の資本が1%でも入っていれば外資企業と見なされる)には、これまで貿易許可が下りなかった。今回は、農業分野や医療セクターに限定したとはいえ、外資の貿易業への参入を認めるという画期的な規制緩和となった。

<外資企業にとっては大きな規制緩和>

 これまでミャンマーでは外資企業は貿易取引が許可されず、自社商品を輸出入する場合は、原則ミャンマー企業に貿易取引を委託する必要があった。貿易業務を行うためには、引き続き輸出入業者登録を行い、原則として輸出入のたびに輸出入ライセンスを取得する必要があるが、今後、貿易取引が直接できることは外資企業にとって大きな規制緩和といえる。20132月以降、輸出入ライセンスの取得が免除される品目リストが公開され、これらの品目も順次拡大されるなど、規制緩和が進んできていた。

 

<日系企業などは開放を評価>

 商業省高官は「現在ミャンマーで販売されている農産物関連商品の品質は低く、過剰な肥料依存や化学物質の残留などの問題が生じている。今回の外資開放の背景にはそうした問題もあり、輸入肥料の適正な品質、農家への正しい使用方法の教育などにおいて、輸入企業が責任を負うべきことを理解し、ルールを守り取引をしてもらいたい」と語る。

 

 今回の通達について日系企業の間では、ミャンマーで不足している医療機器、肥料などの輸入・販売が段階的に外資企業に開放されたことを評価する声が多い。今後、農産物の輸出など特定アイテムでも外資企業に貿易業を開放してもらいたい、といったコメントが多数あった。

 

 2012年度以降、ミャンマーにおける貿易収支は3年連続で赤字が続いているが、政府内には、付加価値の高い農産物の一次加工品の輸出を外資企業に開放することを検討する動きもある。今後も、ミャンマーの貿易政策の動向には注視が必要だ。

 

(浜口聡、水谷俊博)

(ミャンマー)

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