生産拠点や市場として有望なメコン地域3新興国

(カンボジア、ラオス、ミャンマー)

アジア大洋州課

2015年12月17日

 ジェトロは12月1日、カンボジア、ラオス、ミャンマー(CLM)に関する最新経済事情やビジネス上の課題についてのセミナーを東京で開催した。これらの3ヵ国は、GDP成長率も高く、生産拠点、市場として有望視されている。ただし、物流費、ガバナンスの問題などの障害もある。

<GDP成長率高いが課題も>

 メコン地域の新興国であるカンボジア、ラオス、ミャンマーは近年、GDP成長率がいずれも7.0%以上という水準(2014年)で、日系企業の新たな生産拠点や市場として有望とされている。一方、これらの国々におけるビジネス環境は、高額な物流費やガバナンスの不徹底など日系企業にとっての障害も少なくない。121日、都内でこれら3ヵ国のジェトロ事務所長による「カンボジア・ラオス・ミャンマー最新経済動向セミナー」が開催され、現地の最新事情とビジネス上の課題について説明した。

 

<カンボジア:官民合同会議で投資環境改善>

 カンボジアについてはプノンペン事務所の河野将史所長が説明した。同国のビジネス環境の課題として以下の点を挙げた。

 

○電気料金が周辺国と比較し割高なこと

○内戦の影響などにより教員が不足、若年層に十分な教育が行き届いていないこと

○法制度の運用が末端まで浸透しておらずガバナンスが不十分なこと

○地方道路などのインフラは、いまだ脆弱(ぜいじゃく)なこと

 

 しかし、同国へ進出するメリットは大きい。(1)人件費が安く、豊富な若い労働者層があること、(2)首都プノンペンでは可処分所得が増え、1人当たりGDP5,000ドルを超える層が増加、小売りや飲食業など市場が成長していること、(3)農業国で、農業や農産品加工業の分野ではビジネスチャンスがあること、などが理由だ。

 

 カンボジア政府は日系企業の進出を重視し、20098月から「日本カンボジア官民合同会議」を定期的に開催している。日系企業が直面する貿易や投資環境の課題がカンボジア政府へ提言され、解決が図られている。同会議は20157月までに計12回開催されている。

 

<ラオス:首都の1人当たりGDP4,000ドルを超える>

 ラオスの最新経済動向は、ビエンチャン事務所の柴田哲男所長が説明した。同国のビジネスの課題として、(1)内陸国であることから輸送コストが高いこと、(2)人口が少ないことから、数千人規模の大規模工場となると、労働力の確保に注意が必要なこと、(3)法制度の運用・手続きが末端まで浸透されていないこと、などを挙げた。

 

 一方、首都ビエンチャンの1人当たりGDP4,000ドルを超えてきたことを受け、多くの富裕層はタイ側国境のノンカイやウドンタニまで移動して高級品や高品質の製品を購入しており、これら富裕層をラオス国内に取り込むことができれば大きなビジネスチャンスにつながるという。ラオスの強みとして、(1)同国が優れた織物の産地であることに象徴されるように、手先が器用な労働者が多く存在すること、(2)周辺国と比較して電力が安価で安定していること、(3)ラオス語とタイ語は共通性があり、タイプラスワンの実現が容易であること、などが挙げられた。また、同国で成功している日系企業は、単にタイプラスワンとしてラオスを捉えているのではなく、ラオス人の手先の器用さを生かすことができ、小軽量で空輸も可能な商品の生産などのビジネス展開が期待されることが報告された。

 

<ミャンマー:二輪・四輪自動車販売に将来性>

 ミャンマー最新経済動向は、ヤンゴン事務所の山岡寛和所長が説明した。

 

 同国の投資環境の課題として、(1)インフラ(電力、通信、道路など)が脆弱なこと、(2)軍事政権時代の20012011年まで上位大学での学生の受け入れが中断され、若い世代の幹部候補生クラスの層が薄いこと、(3)実習教育の機会がなく、シニアエンジニア層の形成に難しさがあること、などが挙げられた。同国における一部の高所得層の所得は月3,000ドルを超えており、シンガポールやバンコクなどの海外で消費していることから、これらの層の取り込みが重要なことや、月1,000ドル超の高所得層も増えている実態を踏まえ、今後の有望分野の1つとして自動車や二輪販売がある。また、同国の強みについて、(1)安い人件費を生かし労働集約型の産業が向いていること、(2)ティラワ経済特区(SEZ)内の進出であれば、輸出加工型の製造業の進出でもリスクが小さく、進出も容易なこと、などが挙げられた。

 

 なお、セミナー後半は「メコン地域のビジネス環境-第3メコン・ニーズ調査結果から-」に基づき、主に労働者の質や法制度などを通したガバナンスといったメコン地域における課題について、パネルディスカッションが行われた。

 

(堀間洋平)

(カンボジア、ラオス、ミャンマー)

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