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「新規食品」の市場投入手続きを簡素に-新製法による食品や域外の伝統的食べ物が対象-

(EU)

ブリュッセル事務所

2015年11月26日

 EU理事会(閣僚理事会)は11月16日、「新規食品」に関する新規則案を可決した。新たな製法による食品や、域外の伝統的な食べ物を域内市場に投入する際の手続きを簡素化し、ビジネス環境の改善につなげる狙い。新規則は欧州議会本会議で採択されており、2017年に公布、2019年から適用される見通しだ。

<課題だった審査の合理化に向けて前進>

 「新規食品」とは、EU域内で19975月以前に食用に供されていなかった食品や原材料のこと。新たな製法や技術によって生産された食べ物や、域外で伝統的な食品であっても域内では消費されていなかった食品などが含まれる。例えば、健康食品として注目されているチアシード〔中南米原産の1年生植物チア(salvia hispanica)の種子〕や高圧殺菌した果汁などが該当する。一方、遺伝子組み換え食品や食品酵素、添加物、香料、食品生産に使用される抽出溶剤は含まれない。

 

 EUでは、こうした新規食品の域内市場への投入に当たっては認可取得が義務付けられている。現行法では、最初に市場投入する加盟国の食品安全当局が申請窓口となり、審査の初期段階を担当する(注)。しかし、認可取得まで平均3年、おおむね2万~45,000ユーロの費用を要するなど、認可手続きの問題点が指摘されてきた。

 

 欧州委員会は2008年に改正案を提案したが、クローン動物由来の食品の扱いについて、欧州議会とEU理事会の溝が埋まらず廃案となった。新規則は欧州委が201312月にあらためて提案したもので、欧州議会とEU理事会は20156月に修正案に合意していた。

 

<ビジネス環境改善のため認可手続きを見直し>

 新規則では、食品安全の水準を維持しつつ、ビジネス環境改善のため認可手続きが見直された。欧州委が窓口となり、申請を受けてから7ヵ月以内に可否を決定する。また、欧州委が欧州食品安全機関(EFSA)に、申請された新規食品の人体への影響について見解を求めた場合、EFSA9ヵ月以内に見解を発表し、欧州委はその後7ヵ月以内に認可の可否を決定することになった。

 

 新規則は、EU域外の第三国の「伝統的な食品(25年以上にわたって、多くの人々が安全に食べてきた食品)」を、新規食品として域内市場に投入する場合の簡易な手続きも定めている。申請者は食品の組成や原産地などを欧州委に通知し、欧州委はこれを加盟国に転送する。加盟国が4ヵ月以内に、安全性の観点から反対を表明しなければ、市場投入が認められる。その後、新規食品はEUで認可された新規食品のリストに掲載される。現行法では、申請者が市場投入の認可を受けることになっているが、新規則ではリストに掲載されることで足りる。

 

<クローン動物由来の食品も対象に>

 クローン動物由来の食品については別途、法案が審議中だ。しかし、欧州議会の強い要望を受けて、同法案が成立・適用されるまでの間は、暫定的に新規食品に関する新規則が適用されることとなった。

 

 さらに、新規則では新規食品の分類が追加された。細胞・組織培養により製造された食品(「人造肉」など)や、意図的に製造されたナノ物質からなる食品などだ。なお、食品分野におけるナノ物質の定義については、将来、関連技術の進歩に応じて欧州委が委任立法により更新することとなった。また、昆虫も新規食品であることが明記された。

 

 欧州の食品・飲料産業の団体フード・ドリンク・ヨーロッパは「新規則は法的枠組みを簡易化・合理化するもので、研究開発が促進される。域内市場の機能と、中小企業の新規食品市場へのアクセスを促進するものだ」と歓迎した。一方、ナノテクノロジー産業協会(NIA)は、新規則は「曖昧、不明確で、従来の規制と矛盾している。中小企業に不要な負担を強いるものだ」と批判している。

 

 なお、現行法は、新規則の適用開始と同時に廃止される。

 

(注)「新規食品および新規食品成分に関する規則25897」については、ジェトロ海外農林水産・食品ニュース「安全で革新的な新規食品の上市加速を模索」(2015216日)に詳細を掲載。

 

(村岡有)

(EU)

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