対日投資セミナーをニューヨークで開催
(米国)
ニューヨーク事務所
2015年10月08日
ジェトロは9月28日、「ニューヨーク対日投資セミナー」を開催した。安倍晋三首相が冒頭あいさつに立ち、セミナー出席者に日本への投資を呼び掛けた。その後、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼最高経営責任者(CEO)をはじめ米国企業の幹部らによる講演が行われた。また、鈴木英敬三重県知事、林文子横浜市長が投資先としてのそれぞれの魅力を訴えた。
<「世界で最もビジネスをしやすい国を目指す」と首相>
ジェトロは9月28日、ニューヨーク・アスレチック・クラブで「ニューヨーク対日投資セミナー」を開催した(経済産業省、三重県、横浜市の共催)。訪米中の安倍首相が出席し、日本経済の魅力を訴えた。セミナーには200人を超える参加があった。
安倍首相は冒頭あいさつで、日本には再生医療市場やモノのインターネット(IoT)市場といった成長市場があること、このチャンスをつかんでいるのは日本企業だけでなく米国をはじめとする外国企業であること、2015年3月に「外国企業誘致に向けた5つの約束」を決定したこと、法人実効税率を数年で20%台まで引き下げることなどを説明し、「世界で最もビジネスをしやすい国」を目指すことを強調し、セミナー出席者に対日投資拡大を呼び掛けた。
<三重県知事と横浜市長が投資環境の魅力をアピール>
セミナーは2部構成で行われ、JPモルガン・チェースのダイモンCEO、アップルの北米・北東アジア担当のダグラス・ベック副社長、ビデオ会議ソリューションを提供しているIT企業ヴィディオのエラン・ウェストマンCEOがそれぞれ講演を行った。また、日本の自治体から、三重県の鈴木知事、横浜市の林市長が投資先としてのそれぞれの魅力を訴えた。
第1部では、JPモルガン・チェースのダイモンCEOが、日本、米国、新興国といった世界の経済情勢について触れた後、JPモルガンが1924年に関東大震災の震災復興公債を引き受けたことから始まる日本との深い関係について述べた。
続いて登壇した鈴木知事は、伊勢神宮をはじめとした三重県の観光資源、2016年に開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を通じて企業誘致や観光の競争力を高めることを目指していることを紹介した。また、三重県は経済活力があること、ビジネス環境や生活環境が優れている点をアピールした。
第2部では、アップルのベック副社長が登壇し、同社にとって日本は重要な市場であることや、重要な提携先・サプライヤーを有することを強調した。また、横浜市に研究開発拠点を置く計画に言及し、横浜市と経済産業省の協力への謝辞を述べた。
林市長は、横浜市が「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」に指定されていることや、「横浜市スマートシティプロジェクト」を推進していること、アップルが研究開発拠点を横浜市に設立予定であることを紹介し、横浜市の研究開発拠点としての魅力をアピールした。また、羽田空港や新幹線へのアクセスの良さ、東京と比べてビルのテナント料が安いこと、理系・技術系の人材が豊富であることなどをアピールし、横浜市への投資を訴えた。
最後に、ヴィディオのウェストマンCEOが登壇し、同社の事業内容や日本におけるビジネス展開の状況が紹介された。また、日本に進出する際にジェトロによる対日投資支援が役立ったとの感想を述べた。
<仙台市など6自治体も宣伝ブースを設置>
講演の後、上田隆之経済産業審議官が加わって、質疑応答セッションが行われた。聴衆からは、観光振興への取り組みや地元経済への円安の影響についての質問が出るなど、活発な質疑が行われた。
また、今回のセミナー開催会場と隣接したスペースでは、講演を行った三重県、横浜市のほか、2016年の伊勢志摩サミットに併せて開催される閣僚級会合の開催都市である仙台市、つくば市、富山市、神戸市、広島市、北九州市がブースを設置。各市のアピールを積極的に行った。
(注)経済産業審議官・上田隆之氏の「隆」は、「生」の上に「一」が入る。
(前中康志)
(米国)
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