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雇用者の義務を順守、不要な罰金要求には注意-カンボジア労務基礎セミナー(1)-

(カンボジア)

プノンペン事務所

2015年10月14日

 カンボジアの最低賃金は近隣諸国と比べて低いものの、労働法令は労働者の保護に手厚い。ジェトロ・プノンペン事務所は中小企業海外展開現地支援プラットホーム事業の一環として、「カンボジア労務基礎セミナー」を現地で開催した。ジェトロの労務・法務専任委託コーディネーター田宮彩子氏〔ブン&アソシエーツ(Bun & Associates)〕の講演概要を3回に分けて報告する。1回目は労務に関する総論と雇用者の義務について。

<労働法は日本人駐在員にも適用>

 カンボジアにおける労働関係法令を示すと表1のようになる(ジェトロ仮訳「カンボジア労働法」)。

 カンボジアでの労働関連の法律は主に労働法で定められており、その適用範囲は国内の全ての雇用契約に及ぶ。契約締結の場所、契約当事者の国籍、契約当事者の居住地などは関係なく、日本から派遣された駐在員にも適用される。また、原則として機関・団体種別も区別されず、企業に限らずNGOなどにも適用される。労働法の行政解釈は、政令や労働職業訓練省の省令や通達によるが、それでは実務上不十分なのが実態だ。そこで、労働法の解釈は労働仲裁評議会の仲裁判断が尊重される。労働仲裁評議会は2003年設立と歴史が長い。仲裁判断が裁判所で覆されることはほとんどないが、過去には覆されたこともある。

 

 その他、労働協約(CBA)、就業規則、雇用契約も労使間の一定のルールとして労務を規律するものになる。特に就業規則や雇用契約は、各企業内の基本的な労働条件を定めるもので、十分な整備が求められる。

 

<書類の保管など雇用者の義務を規定>

 労働職業訓練省は労働法で雇用者に対して、表2のような申告や書類の保管などを求め、違反行為については罰則(罰金刑、禁錮刑)を規定している。

 「8人以上」の労働者を雇用する場合は、労働者代表を選挙で選任し、その選挙結果を労働監督官に提出しなければならない。さらに、雇用者は労働者代表と協議しながら就業規則を作成し、事業開始から3ヵ月以内に労働監督官の承認を得ることや国家社会保険基金(NSSF)への登録が求められている。

 

 労働法上、「カンボジア人労働者の雇用カード」や「外国人労働者の労働許可」を取得していない労働者の雇用は禁止されている(罰則規定あり)。これらは労働者自らが申請することとなっているが、実務上、雇用者側が申請することが多い。

 

 労働職業訓練省や内務省の役人、警察官を名乗る人間が突然会社に押し掛けて、各種労働法違反を理由に罰金を請求し、領収書を要求するとさらに上乗せした金額を提示してくるような犯罪も横行している。労働職業訓練省からは事前(1週間程度)に書面による通知があり、そこには調査の日時や対象となる書類があらかじめ示されている。そのため、役人や警察官を名乗り、通知もなく調査に来た場合は、まず先方の身分を確認し、書類の準備や業務への支障を理由に出直してもらうべきだろう。罰金を科す場合についても通常、具体的違反項目を示され、是正措置のための猶予期間が設けられる。そのため、その場で要求どおりに領収書のない支払いで解決することは勧めない。

 

 なお、本セミナーは611日にバベット、724日にプノンペンで開催した。

 

俣野有美)

(カンボジア)

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