アーメダバードでカーストに絡む暴動が発生-進出日系企業にも一時、影響-

(インド)

ムンバイ事務所

2015年09月01日

 グジャラート州アーメダバード市で、特定カーストの地位向上を求める活動家団体が30万人規模の集会を開いた。政府施設や公共交通機関への破壊活動のほか、工場の操業停止ストライキが行われるなど、進出日系企業にも影響が出た。8月28日現在では、市内は平穏を取り戻している。

30万人規模の集会がきっかけ>

 「パテル」という姓を持つカーストの地位向上を求める活動家団体(PAAS:グジャラート語の頭文字)は825日、アーメダバードで30万人規模の集会を開催した。同日深夜には、PAAS指導者のハルディク・パテル氏が一時的に警察に拘束されたことを受け、同組織の支持者の一部が暴徒化し、数ヵ所で政府施設や公共交通機関の破壊を行い、警察と衝突した。翌26日は、全州規模での工場の操業停止ストライキや一部地域で暴動が発生し、同州に進出する日系企業を含めた多くの企業が休業を余儀なくされた。しかし、27日には治安維持のために軍隊が投入されたことで緊張は少しずつ緩和され、日系を含む一部の企業は営業を再開。28日になると、一部の地域で残っていた外出禁止令が解かれ、市内はおおむね平常を取り戻した。企業も通常どおり営業している。

<就職枠や入学枠の保証求める>

 「パテル」は、グジャラート州人口の20%を占め、主にダイヤモンド研磨や農業を営む人々から構成され、一般に州内では経済的に恵まれたカーストとされる。しかし、前述のパテル氏は「われわれが豊かだというのは単なる幻想だ。本当に恵まれているのはカースト内の10%に満たない。われわれが営むビジネスは年々縮小し、人々は職を失い、貧しい人が増え続けている」(BBCニュース826日)と語っており、PAASは政府関連への就職枠や大学など教育機関への入学枠を保証するよう州政府に求めている。インドでは後進諸階層(OBCOther Backward Class)に対して優先的にこうした特別枠を割り当てており、「パテル」カーストに対しても同様の扱いを要求する構えだ。

 

上野渉、北村寛之

(インド)

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