バイヤーからは日本産品に高い関心-ホーチミンの日本産農水産物・食品輸出商談会(2)-

(ベトナム)

ホーチミン事務所

2015年08月17日

 本産農水産物・食品輸出商談会についての連載の後編は、ホーチミン市のホテルニッコーサイゴンで実施されたベトナムの食品バイヤーを対象にした商談会を取り上げる。ベトナムへの輸出に関心のある日本企業25社が参加した。日本産品への関心は高く、ベトナム側からは73社122人が来場した。

4時間の商談で12件の成約>

 今回の日本産農水産物・食品輸出商談会には、日本から牛肉、魚、酒、菓子、アイスクリームなどを取り扱う25社が参加し、バイヤーとなるベトナム側は輸入業者、小売店、レストラン、ホテルなど日系・非日系を合わせて73122人が参加した。商談会は日本企業がブースを構え、バイヤーが会場内を自由に回る形式で行われた。ホーチミン市内の日本食レストランは300店を超えており、安心・安全・高品質の日本産品を求める声は多い。バイヤーは試食などを通じて関心を持ったブースを訪れ、商品説明を受ける姿が見受けられた。4時間で行われた商談件数は302件で、最も多い企業は8件を数え、成約は計12件と成果も表れた。今後も成約に向けて継続的にコンタクトすることになった商談も172件あった。

 地場のバイヤーから聞かれた声は以下のとおり。

 

○茶、アイスクリーム、ジュース、菓子、水産物ではブリ、サンマに関心がある。またテト(ベトナムの旧正月)の贈り物として、日本産の菓子を探している(小売業)。

○水産物ではホタテとサーモン、ほかには幼児用ミルクに関心がある。日本の幼児用ミルクは安心・安全という信頼があるため、今後ベトナムにおけるシェアが伸びるのではないか(卸売業・レストラン)。

○水産物を中心に関心がある。しかし、鮮度維持のためコールドチェーンの発展が不可欠(食品加工業)。

 

 他方、商談会に参加した日本企業からは以下のコメントが聞かれた。

 

○南北での嗜好(しこう)の違いを知ることができた。

○小売店やレストランは商品を欲していたが、直接輸入できないため、適当なディストリビューターを探す必要があると感じた。

○在ベトナム日系物流会社が訪問してくるなど、ハノイに比べると(ホーチミンは)流通網に安心感がある。

○高い関税に起因する販売価格や通関に課題があるため、輸出は慎重に考えている。

2年連続の出展。前年出展した際に発掘したパートナーとともに商談に臨み、前回断られたバイヤーと再会し、成約見込みとなった。

 

<信頼できるパートナー発掘がカギ>

 本商談会は前年に引き続いて実施されたが、来場したバイヤーからは日本産品への関心の高さがうかがえた。特に、ベトナムにまだ流通していない菓子や加工食品、生鮮食品などが注目を集めていた。一方、煩雑な輸入手続き、高い輸入関税、ラベル表示などベトナムへの輸出には多くの障壁がある。これらの解決方法の1つとして、信頼できる現地パートナーの発掘が挙げられる。既に日本食材を手掛ける輸入業者もいるため、そうした業者からノウハウを学ぶことも可能だ。また価格への対応としては商品を小分けにし、価格を抑えることも1つの案だろう。ベトナムでは所得増加に伴い中間所得層が増加し、食品に安心・安全・高品質を求めるニーズが高まっており、日本産品が持つ優位性を今後も前面に出していくことが重要だ。

 

ゴク・スオン、飯塚元人

(ベトナム)

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