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鉄鋼輸入のたびにライセンスの申請・取得が必要に

(ベトナム)

ホーチミン事務所

2015年08月20日

 鉄鋼の自動輸入ライセンス取得制度に関する商工省通達No.12/2015/TT-BCT(2015年6月12日付公布)が、7月26日から施行された。今後は、該当する鉄鋼を輸入するたびにライセンスの申請・取得が必要となる。2015年上半期の貿易赤字の拡大や鉄鋼の大幅な輸入増が今回の措置の背景にあるとみられる。

<輸入の増加で国内鋼板市場が値崩れ>

 ベトナム統計総局によると、201517月の輸出額(7月は推定値)は前年同期比9.5%増の9226,600万ドル、輸入額は16.4%増の9563,900万ドルで、337,300万ドルの輸入超過だった。機械、部品や自動車の輸入が増えている一方で、輸出は干ばつなどの天候不順による農作物の不作や、原油価格の低迷で伸びが鈍化している。政府としては、輸出入のバランスを取り、過去3年続いてきた貿易黒字を継続したいとしているようだ。

 

 鉄鋼に関しては、17月の輸入額が前年同期比15.1%増の約47億ドル、輸入量も44.8%増と高い伸びを示している。こうした鉄鋼輸入の急激な伸びは国内の鋼板市場の値崩れを招いており、地場の鉄鋼圧延メ-カ-に少なからず影響を与えていることから、今回のライセンス制度が導入されたとみられる。

 

<申請時に銀行の送金証明書を提出>

 通達の主な項目は以下のとおり。

 

○鉄鋼の自動輸入ライセンス取得対象品目(1条、13条)

1)自動輸入ライセンス取得対象品目

 HSコ-ドで分類された下記の鉄鋼(詳細は付録1

72077209721072117212721372147215721972207224.7227722872297306

2)自動輸入ライセンス取得対象外の品目

-一時輸出入あるいは通過貿易での輸入

-製造および加工を目的に輸入(注)

 

○自動輸入ライセンス申請手続き(5条、7条、11条)

1)申請者のプロフィールの当局への事前登録必要項目

-企業のサイン権者と企業の印鑑(フォ-マットは付録2

-企業の投資登録証あるいは企業登録証

 プロフィール変更時はその都度、再登録が必要

2)自動輸入ライセンス申請時の必要書類(8条)

-自動輸入ライセンス申請書2通(フォ-マットは付録3

-輸入契約書(輸入者の社印付きで認証済みコピ-)1

-インボイス(輸入者の社印付きで認証済みコピ-)1

-信用状(LC)あるいは銀行送金証明書(輸入者の社印付きで認証済みコピ-)1通(フォ-マットは付録4A4B

-船荷証券あるいは運送証券(輸入者の社印付きで認証済みコピ-)1

3)発行機関(4条)

 ハノイとホ-チミンの商工省輸出入管理局

4)自動輸入ライセンス申請から発行までの期間と有効期間(3条、9条)

-郵送の場合:不備のない申請書類を受領してから7営業日以内に発行

-オンラインの場合:不備のない申請書類を受領してから5営業日以内に発行

-自動輸入ライセンスの有効期間は発行日から30

 

<抜本的な対策が必要との声も>

 今回の通達で、鉄鋼輸入時に必要とされる書類が増え、かつ公証が求められることとなった。煩雑な輸入ライセンスの申請・取得手続きを義務化することにより、輸入手続きに時間をかけさせる。また、申請に際しLCや銀行の送金証明書などの提出を義務付けており、輸入した鉄鋼を売却してから輸入代金を支払うことはできず、資金繰りに余裕がないと輸入できないようになっている。これにより輸入量をコントロールできれば、在庫過剰の鋼板市況が持ち直し、鉄鋼圧延メーカーに好影響をもたらすといえるだろう。輸入商社は輸入手続きの煩雑さと資金繰りに苦労するとみられるが、通達施行への国内圧延メーカーの期待感は高いようだ。

 

 ただし、今回の措置は小手先の対応で、国内の鋼板市況に対する抜本的な対策にはなっていない、との声が関連企業から上がっている。ベトナムの鋼板市場では、自動車や家電向けなど高級品の需要はまだ少なく、建物の屋根や壁に使われる中級品以下への需要が多い。このため品質よりも価格が重視されて値崩れが起きており、高額の圧延設備を導入した外資系メーカーには特に苦しい状況だ。一方、ASEAN諸国への輸出はたびたびアンチ・ダンピングの訴訟・調査の対象となっている。高級な鋼板を利用し、国内あるいはASEAN諸国向けに製品を供給できる自動車や家電産業を育成することが抜本的な対策のカギといえそうだ。

 

(注)製造および加工を目的に輸入する場合は、自動輸入ライセンスを申請するか、製造および加工目的のためとの誓約書を出してライセンスの申請を免除されるか、どちらかの方法を選択できる。誓約書は6ヵ月間有効。なお場合によっては、誓約書の内容が正しいかどうか、当局は工場の実地検分ができると定められている。

 

(栗原善孝)

(ベトナム)

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