爆発事件、日系企業への影響は軽微-バンコク日本人商工会議所が緊急アンケート-

(タイ)

バンコク事務所

2015年08月21日

 8月17日にバンコク中心部で発生した爆発事件は、外国人を含む20人が死亡する惨事となった。バンコク日本人商工会議所(JCC)が緊急実施したアンケートによると、企業活動への影響については、18日時点で9割の会員企業が、「ない」と回答している。また特別な対応を取っていないとの回答も多く、日系企業は冷静に対応しているようだ。

<ショッピングモールも翌日から通常営業>

 817日午後7時ごろ(現地時間)、首都バンコクの中心部のラチャプラソン交差点に近い、観光名所のエラワン廟付近で爆弾が爆発した。現場はショッピングモールなどが集中する繁華街。バンコク都エラワン救急医療サービスセンターの発表によると、20日午前9時現在、この爆発による死亡者は20人(内訳はタイ6人、マレーシア4人、中国4人、香港2人、シンガポールとインドネシア1人、国籍不明者2人)、負傷者は135人となっている。負傷者には日本人が1人含まれている。

 

 なお18日には、高架鉄道(BTS)サパーンタクシン駅に近い、チャオプラヤ川の船着場近くでパイプ爆弾が爆発したが、負傷者は出なかった。

 

 事件直後、現場は交通規制(18日正午ごろ解除)が敷かれたものの、市内を走るBTSなどは平常どおり運行され、市内に大きな混乱はなかった。また周辺のショッピングモールなども17日は閉店時間を早めるなどの措置を取ったものの、18日からは通常どおりの営業となった。

 

 タイ経済への影響については、市内のホテルなどでキャンセルが出るなど、「短期的には観光業に打撃だが、影響については慎重に見極める必要がある」(スパン・タイ工業連盟会長)との慎重な見方が多い。

 

<会員企業の約9割に影響はなし>

 JCCが爆発事件の影響について会員企業を対象に実施した緊急アンケート(対象:1,639社)によると、自社のビジネスに影響しているかどうかについては、67社が「出ている」、586社が「出ていない・調査中」と回答し、約9割の企業には影響が出ていないことが明らかとなった。主な影響としては、商談や会合のキャンセルや延期、出張者の渡航見合わせ、従業員の自宅待機などが挙げられている。現在までのところ製造業の生産活動や物流に支障は出ておらず、影響は限定的とみられる。

 

 また爆発事件を受けての対応では、587社が「特別な対応を取っていない」、69社が「特別な対応を取った」と回答している。各企業とも従業員などに事故現場や繁華街などに近寄らないよう指示を出しているとみられるが、具体的な対策としては、始業時間の繰り下げ(自宅待機)などにとどまり、事態を注視しつつ冷静に対応している企業が多いようだ。

 

 なお、警察は黄色いシャツを着た不審な男を、容疑者の可能性が高いとして似顔絵を公開し、逮捕状を取って行方を追っている。男は爆発現場の防犯カメラに映っており、事件直前にバックパックを残して立ち去ったことが分かっている。

 

(若松寛)

(タイ)

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