正しい知識で想定外のリスク・コストを回避-「カンボジア税務基礎」セミナー(1)-

(カンボジア)

プノンペン事務所

2015年07月29日

 近年、カンボジアでは徴税が強化されており、税務調査により不合理な税金を請求されるケースがある。ジェトロ・プノンペン事務所は中小企業海外展開現地支援プラットホームの一環として、「カンボジア税務基礎セミナー」を6月11日にバベット、7月8日にプノンペンで開催した。プラットホーム委託専任コーディネーター田村陽一氏(KPMGカンボジア公認会計士)の講演内容を3回に分けて報告する。1回目は正しい知識で税務リスク・税務コストを回避する方策について。

<税率は近隣国より低いが留意点は多い>

 カンボジアの税率は近隣諸国と比べ低水準とされる(表1参照)。さらに適格投資案件(QIP)の認可を受けた企業は、法人税は39年間免除されるとともに、事業内容・立地などによっては、原材料、建設資材、生産設備に関する輸入関税や付加価値税(VAT)なども免除となる。しかし、実務上は多くの留意点があり、正しい知識がなければ想定外の税務リスク・税務コストが生じる恐れがある。

 カンボジアでは事業開始日(会社登記)から15営業日以内に税務登録を申請し、課税識別番号(TINTax Identification Number)を取得する必要がある。税務登録完了後は各税目について申告・納税する義務が発生する(表2参照)。なお、各税目の詳細については次回以降に紹介する。

 課税方式には以下の3つがある。

 
○実態課税方式(the real regime

○推定課税方式(the estimated regime

○簡易課税方式(the simplified regime

 

 このうちカンボジアでは主に「実態課税方式」が適用されることから、セミナーでは実態課税方式を前提に説明する(一定の要件に該当する個人事業者には推定課税方式が適用される。簡易課税方式は実際の適用事例なし)。実態課税方式は「自己申告」による納税で、納税額は税務調査が終わるまで確定しない。そのため、納税者と税務官との間で見解の相違によるトラブルが多いことから、税制や運用面を十分理解しておく必要がある。

 

 なお、推定課税方式の概要はジェトロのウェブサイトで閲覧できる。

 

<税務調査はおおむね3年に1度>

 税務調査(Tax Audit)には、以下の3種類がある。

○机上税務調査(Desk Audit

○限定的税務調査(Limited Audit

○包括的(最終)税務調査(ComprehensiveFinal Audit

 

 一般的に「机上税務調査」または「限定的税務調査」が実施された後、税務当局の異なる部署が「包括的(最終)税務調査」を行う。おおむね3年に1度は税務調査がある。税務当局は申告書の提出後3年間に限り更正決定を行う権限を有するが、納税者が税法規定の実施を妨害した証拠(インボイスの紛失など)があるときは、申告書を提出すべき日から10年前にさかのぼって税務調査されることを想定しておく必要がある。税法上、納税者には会計帳簿と証憑(しょうひょう)書類も10年間の保管が義務付けられており、税務当局からの要請があれば提供しなければならない。また、納税者側から税務調査の実施を請求することもできる。

 

 調査で納税不足が発覚すると「不足額の10%、25%、40%のいずれか(過失の程度による)の追徴課税」と「月2%の延滞利息(上限なし)」が請求される。納税者は異議申し立てを行うことができるが、税務調査の結果通知の受領後30日以内に行わなければならず、そのためには正式な結果通知の発行前に税務調査官と調査結果について協議することが必要となる。ただし、追徴課税の最終決定権は事実上、税務署にある(税務裁判所などは機能していない)。

 

俣野有美)

(カンボジア)

通商弘報 32f064089a064283

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