ベトナムとEEUがFTAに正式署名

(ベトナム、カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、アルメニア、キルギス)

ハノイ事務所

2015年06月12日

 ベトナム政府は5月29日、カザフスタンにおいて、ユーラシア経済連合(EEU)との自由貿易協定(EEUVFTA)に正式署名したと発表した。発効すれば、ベトナムとEEU双方で貿易品目数と貿易額が90%自由化されることになる。

VKFTAに続き2015年に入って2協定目>

 EEUVFTAの正式署名は、グエン・タン・ズン首相とEEU加盟5ヵ国(カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、アルメニアと加盟予定のキルギス)の各国首相との間で交わされた。EEUとの自由貿易協定(FTA)交渉は、20133月にロシア、ベラルーシ、カザフスタン3ヵ国の関税同盟との間で開始され、201412月の第8回交渉で妥結となった。EEU20151月の発足に伴ってアルメニアが加わり、キルギスも加盟する見込み。

 

 6月時点で、ベトナムは8協定〔FTA/経済連携協定(EPA)〕が発効済みで、3協定が交渉中。5月初めに行われた韓国とのFTAVKFTA)に続いて、2015年に入り2協定目の正式署名となった。

 

 EEUVFTAWTOの原則に基づき、双方にとってセンシティブな分野や双方の発展に格差がある分野を考慮に入れるとしている。具体的には、物品貿易、原産地規則、貿易救済措置、サービス貿易、投資、知的財産、衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS)の対策、貿易の技術的障害のルール(TBT)、電子取引技術、競争などだ。

 

<貿易額を2020年までに最大3倍に拡大が目標>

 物品貿易に関しては、ブー・フイ・ホアン商工相は「双方で貿易品目数と貿易額の90%が自由化されることになる。これはベトナムが締結した他のFTAとほぼ同じ比率だ」と、交渉結果を評価している。またベトナム政府は、全体で人口17,500万人、GDP25,000億ドルのEEUに輸出市場として魅力を感じるとしている。

 

 2014年のベトナムとEEUの貿易額は40億ドル。EEUFTA発効後、2020年までに2.53倍の100億~120億ドルにすることを目標にしている。ベトナムはEEUへの輸出が毎年1820%増加すると見込んでいる。ベトナム側は農産品、水産品、縫製品、靴、木製品の輸出がしやすくなる一方、EEU側に対して、畜産品、機械設備、輸送機器の市場を開放することに同意している。

 

 一方、商工省輸出入管理局のチャン・タイン・ハイ次長は「ベトナム国内の鉄鋼メーカーは今後、ロシアなどの大手鉄鋼メーカーとの厳しい競争に直面するだろう」との見解を示している。また、ホアン商工相もベトナムの企業に対して、EEUの銀行決済システムが先進国と比べて遅れていることや、アルメニアやキルギスに関しては情報が少ないことから、注意を払うよう促している。

 

(佐藤進)

(ベトナム、カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、アルメニア、キルギス)

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