2014年の貿易額は76億ドル超で過去最大に-KOTRA調査、対中依存度が一層高まる-

(北朝鮮)

中国北アジア課

2015年06月23日

 大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は6月5日、2014年の北朝鮮の貿易動向(韓国と北朝鮮との間の南北交易は除外)を発表した。それによると、貿易額は前年比3.6%増の76億1,100万ドルに達し、KOTRAが1990年に集計し始めてから最大となった。

<貿易赤字は前年から4割強増加>

 KOTRAが発表した「2014年の北朝鮮の対外貿易動向」によると、輸出は前年比1.7%減の316,400万ドル、輸入は7.8%増の444,600万ドルで、貿易額は761,100万ドルを記録した。貿易赤字は前年の9800万ドルから41.2%増えて、128,200万ドルに達した(表1参照)。

 北朝鮮の貿易の推移をみると、2011年の637,500万ドル、2012年の681,100万ドル、2013年の734,500万ドルと順調に増加していた(2014年6月5日記事参照)

 

 KOTRA2014年の貿易の特徴として、電気機器、機械類、プラスチック製品の輸入増加と、輸出では衣類の大幅な伸びを挙げている。

 

<中国への貿易依存度が9割超す>

 国・地域別にみると、中国との貿易は、輸出が前年比2.5%減の284,100万ドル、輸入が10.7%増の402,300万ドルで、貿易額は4.8%増の686,400万ドルとなった(表2参照)。この結果、北朝鮮の中国への貿易依存度は90.1%と、2012年(88.3%)を1.8ポイント、2013年(89.1%)を1.0ポイント上回った。中国は北朝鮮の輸出額の89.8%、輸入額の90.5%を占めている。

 

 2位以下はいずれも貿易額が1億ドルに達しておらず、ロシアが9,230万ドル、インドが8,800万ドル、タイが7,690万ドル、バングラデシュが5,220万ドルと続いている。

 

 10大貿易相手国を2013年と比較すると、パキスタン、ドイツが新たに8位、10位に入った一方で、2013年に7位だった香港と8位だったウクライナが圏外となった。

<輸出入とも鉱物性燃料が最大のシェア>

 輸出は、石炭、褐炭などの鉱物性燃料が117,800万ドルで、輸出全体の37.2

%を占めたものの、2013年の143,000万ドルに比べると金額で17.6%減少した(表3参照)。また、鉄鉱・スラグ・灰などの輸出も前年比18.3%減の33,900万ドルとなった。一方、衣類・同付属品が23.7%増、魚類・甲殻類が21.9%増、鉄鋼が22.0%増と、いずれも好調だった。

 輸入は、原油、精製油などを中心とした鉱物性燃料が全体の16.8%を占めたが、2013年の78,400万ドルと比べて4.7%減となった(表4参照)。輸入では、電気機器・音響機器・映像設備などが前年比54.8%増の42,500万ドルと急増したのが目立った。

 KOTRAでは、北朝鮮にとっては中国との貿易で委託加工貿易、資源貿易などの相互補完関係が維持されていることや、北朝鮮の政治的・経済的孤立状態が長期化するとみられることから、北朝鮮の対中貿易依存度は一層高まると予測している。

 

根本光幸

(北朝鮮)

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