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税収3割増目指し輸入関税引き上げも-2015/2016年度国家予算案(2)-

(バングラデシュ)

ダッカ事務所

2015年06月29日

 2015/2016年度(2015年7月~2016年6月)の国家予算案は、前年度比23%増の歳出額となった。財源を確保するために、政府は税収を3割引き上げるとしている。同時に、幾つかの品目において輸入関税の変更が発表され、日系企業のビジネスにも影響がありそうだ。バングラデシュ予算案解説の後編は、増税措置と税制の変更について。

<財務相は税収30%増の目標達成に自信>

 20152016年度の国家予算はインフラ整備が重視され、歳出は前年度比23%増の29,510億タカ(約47,216億円、1タカ=約1.6円)となった。政府は歳出増をう財源として、金利負担の大きい国内借を抑制し、前年度比30%増となる大幅な税収アップを目指している

 

 税収アップの実効性を疑う声が国内から上がっているが、ムヒト財相は「野心的な数字だが、税務当局は必ず目標を達成すると信じている。内部調査によると、納税者数は現在の2倍以上いる」と述べ、課税基盤の拡大を図るとともに、税務当局による監視強化して脱税厳しい対応を取としている。

 

<最低課税所得を引き上げ、VATや関税の変更は既に実施>

 今回の予算案では、個人所得税ならびに法人税の一部が改定された。

 

1)個人所得税

 65歳未満の男性の最低課税所得(年間)を22万タカから25万タカに引き上げ、女性ならびに65歳以上の男性についても275,000タカから30万タカに引き上げる。課税計算には課税対象金額を幾つかの段階に分ける超過累進税方式が取り入れられており、今回の改定により個人所得税の税率は以下のとおりとなる。

 

○0250,000タカまで:無税

250,001650,000タカまで:10

650,0011,150,000タカまで:15

1,150,0011,750,000タカまで:20

1,750,0014,750,000タカまで:25

4,750,001タカ~:30

65歳未満男性の場合、居住外国人を含む)

 

2)法人税

 株式非上場企業は35%に据え置き、株式上場企業は27.5%から25%に引き下げる。また、株式上場している銀行ならびに金融機関(保険など)の税率も42.5%から40%に引き下げる。

 

3)最低取引税(Minimum Turnover Tax

 免税措置を受けつつ、年間500万タカ以上の所得を有する企業に適用される。税率は総収入に対する0.3%に据え置くが、事業開始から3年間は0.1%の税率を適用する。

 

4)源泉所得税(Source Tax

 輸出代金の受け取りに課せられる。アパレル製品で0.3%から1.0%、その他の製品で0.6%から1.0%に引き上げる。輸出収入に対する所得税(法人税)支払いは、同源泉所得税をもって代替される。

 

5)政府によって承認された自動車、自転車、タイヤの製造事業者は、5年間の法人税減免措置を受けることができる。また、ITソフトウエア事業者の税の減免措置の失効時期を、2019年から2024年に延長する。

 

6)移転価格にかかる所定の申告に漏れがあった場合のペナルティーを、当該取引額の1%から2%に引き上げる。

 

7)就労許可を有せず、国内の事業所・工場などに就労して収入を得ている外国人に対して、50万タカもしくは所得に対する50%のどちらか高い方をペナルティーとして科す。

 

8)自由設定だった企業会計年度を、金融部門(ノンバンクを含む)は112月、その他の部門は76月に統一する。当該規則は移行期間を踏まえ、20167月から施行する。

 

9)付加価値税(VAT)の主な変更点(予算案が発表された64日に即日実施)

○保冷倉庫の使用料への課税は免除する。

○インフラ開発公社(IDCOL)に登録された、太陽光パネルメーカーに納入するバッテリー代金への課税を免除する。

○国内で生産される長寿命ランプならびにその部品への課税を免除する。

○オンライン取引(eコマース)に対して4%を課税する。

○スーパーマーケットで販売される商品への税率を2%から4%に引き上げる。

○建設に対する一律3%の税率を、1,100平方フィートまでは1.5%、1,600平方フィートまでは2.5%、それ以上の場合は4.5%とする。

 

10)輸入関税における主な変更点(予算案が発表された64日に即日実施)

○鉄または非合金鋼のインゴット(HS7206)ならびに鉄または非合金鋼の半製品(HS7207)の基本関税を1トン当たり5,000タカから7,000タカに引き上げる。

LED照明ならびに電球(HS9405.40.49)の基本関税を5%から10%に引き上げる。

○太陽光ランタンならびにランプ(HS8513.10.10)の基本関税を25%から0%に引き下げる。

○魚の加工品(HS03020305)の補足税(Supplemental Duty)を1015%から20%に引き上げる。

○菓子類(HS17041806)の補足税を30%から20%に引き下げる。

○自動車用のタイヤ(HS4011.10)の補足税を0%から20%に引き上げる。

○段ボール(HS4819)の補足税を15%から10%に引き下げる。

○ニット衣料全般(HS61)の補足税を60%から45%に引き下げる。

○布帛(ふはく)衣料全般(HS62)の補足税を3060%から2045%に引き下げる。

○金属製のパイプ(HS73037306)の補足税を015%から20%に引き上げる。

○キッチンならびにバスルーム用の機器(HS73217324)の補足税を15%から20%に引き上げる。

○自動三輪車(HS84078408)の補足税を15%から20%に引き上げる。

○一次電池(HS8506)の補足税を015%から20%に引き上げる。

○電気自動車(HS8703.90)の補足税を0%から20%に引き上げる。

4ストローク・エンジンの自動二輪車のコンプリートノックダウン(CKDHS8711.1020)の補足税を30%から45%に引き上げる。

○自動二輪車用のシート(HS9401.20)の補足税を15%から20%に引き上げる。

○生理用ナプキンならびに紙おむつ(HS9619)の補足税を60%から45%に引き下げる。

○潤滑油(HS2710.19.21)調整税(Regulatory Duty)を免除する。

○その他、養鶏ならびに酪農用資機材、縫製工場で使用する防災・省エネ機器、医薬品原料の一部において、基本関税、補足税、調整税、VATの減免措置を設ける。

 

 HSコード別の実行輸入関税率表は、ウェブサイトから閲覧可能。

 

 増税が多いが、輸入にかかる調整税の税率の一律5%から4%に引き下げや、(インポートライセンスを保持する)製造業者が輸入する機械設備にかかる関税の2%から1%への引き下げが盛り込まれている。

 

 ちなみに、輸入関税には以下の6種類がある。

 

1)一般関税(CD):海外から輸入または海外へ輸出する財に課税される税金で、輸入関税と輸出関税に分けられる。バングラデシュの関税は一般的に0%、1%、2%、5%、10%、25%の5段階に分かれている。輸入関税は、CIF1%の陸揚げ費用を加算した額(CIF1)に対して課税される。また、当該輸入品を加工し輸出した場合に還付を受けることができる。

 

2)調整税(RD):輸入品のCIF1に対して課される間接税の一種で、5%と税率は固定されているが、課税されない品目もある。

 

3)補足税(SD):輸入品のCIF1ならびにCDRDを課した額に対して課税される。税率は10500%と高率で、国内産業や市場への影響を抑制する目的で導入されている。

 

4)付加価値税(VAT):輸入品のCIF1CDRDSDを課した額に対して課税される。税率は15%だが課税されない品目もある。

 

5)前払い貿易付加価値税(ATV):輸入品のCIF1CDRDSDVATを課した額に対して課税される。税率は4%に固定されているが、原材料や部品、機械などに対しては、仕入れ税26.66%を掛けた額に対して課税される。課税されない品目もある。

 

6)前払い所得税(AIT):CIF1に対して課税される。税率は5%に固定されているが、課税されない品目もある。当該輸入品を加工し輸出した場合、同税額は還付されないが、所得税から相殺することができる。

 

河野敬

(バングラデシュ)

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