輸入貨物の容器に対する関税が免除に

(タイ)

バンコク事務所

2015年06月11日

 5月26日から、リターナブルコンテナやリターナブルボックスなど繰り返し使用される輸入貨物用の「容器」に対し、関税免除措置が適用された。輸入者は事前に、所定の申告フォームで税関から免税輸入の許可を得る必要がある。

<貿易の円滑化と国際競争力の強化が目的>

 関税局は526日、貿易円滑化の推進とタイの国際競争力強化を目的に、「通い箱」と呼ばれる輸入貨物の容器リターナブルコンテナとリターナブルボックス、およびそれらに付属する保護機能部品に対し免税措置を適用する旨の通達(No.1042558)を発出し、即日発効した〔関税局通達(タイ語のみ)〕。

 

 これまでタイでは、リターナブルコンテナとリターナブルボックスについては自由貿易協定(FTA)で定められた協定税率などを適用する場合を除き、10%の輸入関税が課せられていた。なお、同一の容器が複数回輸入される場合には、1回目の輸入のみが課税(還付なし)され、再輸出の際に所定の登録手続きを経ることにより2度目以降の輸入からは免税適用が受けられた。

 

 輸入貨物の容器に対する課税または免税の扱いについてはASEAN域内でも各国の制度が異なり、ユーザーである民間企業からは、ASEAN経済共同体(AEC)に向けた経済統合措置の進展と合わせ、各国に免税措置の適用を求める声が高まっていた。日本企業もASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)とASEAN事務局との間で毎年開催されている対話を通じ、免税扱いにすることを継続的に求めてきた。

 

<国際輸送用の繰り返し使用される容器が対象>

 今回の関税局通達により、以下の要件を満たすリターナブルコンテナとリターナブルボックスは、その材質にかかわらず免税措置の適用を受けることができる。

 

1)繰り返し使用するための耐久性を有すること。

2)国際輸送用の容器として設計されていること。

3)輸入の際または再輸出の際に完成品もしくは組み立てれば完成品になる状態であること。

41987年関税定率法(Customs Tariff Decree B.E. 2530)第4条(免税措置)の1項もしくは15項に記載されている品目については免税の対象外とする。

 

 また、当該容器は輸入者もしくは輸入者に関連する事業者によるビジネス上の「国際貨物輸送」に使用されるものであり、容器自体が商業用に取引されることや容器の所有権が移転することは認められない、と規定された。

 

<輸入日から1年以内の再輸出が条件>

 通達の定める手続き上の規定は以下のとおり。

 

1)当該容器は輸入日から1年以内に再輸出される必要がある。税関局長による事前許可取得を条件に、再輸出期限は6ヵ月延長することができる。

2)輸入者が当該容器(リターナブルコンテナとリターナブルボックス)を初めて輸入する場合、事前に輸入申告を行う予定の税関サービス事務所に免税申告書(フォームKor)を提出し、許可を受けておく必要がある。1種類の容器に対して1通の申告書が必要となる(事前許可を受けた際の番号および日付を通関時の輸入申告書に記載する)。

3)申告書類と併せて、税関通達に添付された所定フォームで容器の詳細報告、容器の形状を示す補足資料(写真や図面など)、発行から60日以内の輸入者(法人の場合)の商業登記証明書類などを提出する必要がある。

4)輸入者以外にも、再輸出を行う事業者などを含めた関係取引当事者は、証明する資料(雇用証明、事業目的を記した発行から60日以内の登録証明書)を提出する必要がある。また、既に提出した資料に変更があった場合、輸入者は次回の輸入もしくは再輸出までに修正の申告書を提出する必要がある。

5)事前許可取得が間に合わない場合は、いったん関税を支払った後、リターナブルコンテナとリターナブルボックスに対する関税の還付を受けることも可能。その場合、還付申請は輸入から2年以内に行われなければならない。

6)免税適用を受ける輸入者は、全ての記録を書類もしくは電子データのかたちで適切に保管する必要がある。リターナブルコンテナとリターナブルボックスの輸入、保管、使用、および再輸出に係る記録を少なくとも5年分保管し、6ヵ月ごとに記録を提出する必要がある。提出は6月末および12月末からそれぞれ15日以内にする。

7)なお、a.容器の所有権が移転された場合、b.他の目的で使用された場合、c.破損もしくは使用できないほどのダメージを受けた場合については、当該容器は免税適用の対象とはならない。

 

(伊藤博敏)

(タイ)

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