改正投資インセンティブ法が発効、優遇の適用対象や措置を拡大

(チェコ)

プラハ事務所

2015年06月15日

 改正投資インセンティブ法が、5月1日に発効した。優遇適用対象にデータセンター、コールセンターが追加されたほか、不動産税の免除などより有利な優遇が適用される特別経済区が創設されることになった。具体的な場所は6月末までに選定される予定だ。近隣諸国と比べて低い国家援助を補い、投資先としてのチェコの競争力を保つことを目的としている。

<国家援助限度率が7地方で引き下げ>

 EU2014年に、20142020年国家地域援助規則を発布した。これにより201471日以降、投資コストとして認定される額に対する国家援助の割合である国家援助限度率が、もともと0%のプラハ地方を除く7地方のうち6地方において40%から25%に、1地方において30%から25%に引き下げられた(表参照)。これらは大企業を対象とした場合で、中小企業(従業員250人未満、資産額あるいは売上高が1,000万ユーロ以下の企業)に対しては1020%高い限度率が設定されている。

 国家援助率の上限は、当該地方の住民1人当たりのGDPEU平均との比較に基づき、201471日以降、0%から最高70%まで段階的に分類されている。例えば、ポーランド、ハンガリーでは50%が4地方に適用されているのに対して、チェコではプラハが0%、その他の7地方が25%に分類されており、近隣諸国と比べて国家援助の上限が低い。

 

<特別経済区を創設、サービス部門の優遇対象を拡大>

 今回の投資インセンティブ法改正は、こうした不利な条件を補うために優遇措置を拡大し、投資先としてのチェコの競争力を保つことを目的としたものだ。改正による主な変更事項は以下のとおり(添付資料参照)。

 

○特別経済区の創設

 特別経済区は、産業貿易省が既存の工業団地の中から投資受け入れ余地のあるところを指定し、内閣が承認する。特別経済区への投資にのみ適用される5年間の不動産税免除のほか、新規雇用創出・訓練コストに関しても、他の地域に投資した場合と比較してより高額な補助金が保証される。現段階では、オストラバ、ホレショフ、モストのほか、ソコロフ(カルロビ・バリ地方)近郊の工業団地も候補地として検討されている。

 

○優遇措置適用対象に、データセンター、コールセンター(顧客サポートセンター)の設立・拡大を追加

 これまでサービス部門における優遇措置の適用対象は、テクノロジーセンター、シェアードサービスセンター、ソフトウエア開発センターおよびハイテク修理センターに限られていた。改正に伴い、コンピュータシステムを通じてデータの保存・分類・管理を行うデータセンター、電子通信網を介して顧客とのコミュニケーションを行い管理するコールセンターが追加された。

 

(中川圭子)

(チェコ)

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