外国企業による新車の輸入販売を認可

(ミャンマー)

ヤンゴン事務所

2015年05月20日

 商業省が外国企業に新車の輸入販売を認める通達を発表した。2011年の中古車輸入の緩和以降、日本からの輸入に拍車が掛かり、今では月に1万台を超えている。中古車からの買い替え需要を見込み、日系自動車会社はこれまで、提携先の現地企業への委託販売でショールームでの新車販売を展開してきた。今後は合弁会社を設立することにより、外国企業自ら新車の輸入販売を手掛けることが可能となる。

<外国企業の貿易業を13年ぶりに認可>
 商業省は3月18日付で外資の新車輸入販売に関する通達(20/2015)を発表し、(1)ミャンマー企業との合弁、(2)暦年で300台までの輸入、(3)10万ドルの預託金、などを条件として外国企業による新車の輸入販売を認めることとした。本件については、2014年10月の「日ミャンマー共同イニシアチブ」の会合で日本側から要望し、商業省からは地元企業との合弁を条件としたショールームでの新車輸入販売を認める方針が示されていた。これが通達によって正式に決定したことになる。

 ミャンマーでは2002年以降、外国企業(1%でも外国資本が入ったミャンマー会社は外国企業として扱われる)による貿易業が認められなかったが、これが条件付きながらも13年ぶりに認められることとなる。合弁の資本比率についてはなお不明な点があるものの、当地で新車販売を手掛ける日系企業は「画期的な通達」と評価しており、合弁会社設立に向けて動き始めている。

<年間の輸入は300台まで>
 通達は、2015年にショールームを通じて新車の輸入販売を行う者は、以下の事項を順守しなければならないとしている。

○ショールームを通じて販売される輸入車は新車でなければならない。
○輸入車の年式は輸入年もしくはその1年前までとし、左ハンドルの新車でなければならない(現状では2014年もしくは2015年式)。
○ショールームを開設する会社は、投資企業管理局(DICA)でサービス会社として登録されたミャンマー企業と外国企業との合弁会社でなければならない。また同合弁会社は、自動車会社によって正式に認定された、新車の独占販売会社でなければならない。
○ショールームは一定水準のものでなければならない。
○合弁会社は輸入新車に対して必要な保険をかけなければならない。また、補修部品の販売、販売後のサービスのための修理工場設置が可能でなければならない。
○新車ショールーム開設は、当該地区の関連自治体および関連する管区・州政府から営業許可を取得した場合にのみ認められる。
○ショールームで販売される新車は、信用状(L/C)もしくは電信送金決済(T/T)による委託販売方式での輸入が可能。
○新車輸入台数は年間300台まで。
○輸入車はショールームもしくは倉庫で保管することとし、ショールーム外での販売は認められない。販売前に道路を走行することは禁止。
○ショールームの開設に当たっては、保証金として銀行口座に10万ドル預託しなければならない。銀行口座は正式に外貨口座が開設可能な銀行に開設する。
○輸入車の委託販売が関係規則に沿って終了する場合、預託金の10万ドルは、販売、送金などを精算した上で返却される。
○合弁会社関係者は、商業省もしくは商業省の指示を受けた組織によるショールームに関する書類・会計帳簿の検査に応じなければならない。
○ショールーム業務の延長申請は、ショールーム営業許可および輸入許可が失効する日の1ヵ月前までに行われなければならない。

(高原正樹)

(ミャンマー)

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