労働許可取得の受験手続きは全てロシア語-モスクワ駐在員に体験談を聞く-

(ロシア)

モスクワ事務所

2015年05月26日

 2014年4月の「ロシア連邦における外国人の法的地位に関する連邦法の改正」により、外国人が労働許可を取得する際にロシア語、ロシアの歴史・法律の知識に関する証明書の提出が義務付けられた。この証明書の取得に向けた試験が2015年1月から開始されている。4月中旬に同試験を受けた在モスクワの駐在員に受験体験談を聞いた(4月24日)。なお、高度熟練専門家(HQS)のステータスを持つ駐在員などは提出が免除される。

<試験会場によって申し込み状況にばらつき>
 受験に際しては、まず、受験会場となるテストセンターを探す必要がある。ロシア・テスト・コンソーシアムのウェブサイトにロシア国内の試験場の一覧が掲載されているため、各自で探すことが可能。eメールで問い合わせができるテストセンターがある一方で、電話でしか対応しないところもある。

 受験申し込み状況については、テストセンターによってばらつきがあるようだ。ロシア民族友好大学系列の2ヵ所のテストセンターに事前に問い合わせしたところ、1ヵ所目は既に満員で、4月中にテストを受験できない状況であり、テスト実施主体の大学に問い合わせをするように言われた。他方、2ヵ所目は空きがあり、すぐに受験日を決めることができた。

<パスポートの翻訳証明が必要>
 受験に際しては、a.パスポート(顔写真のあるページ)のコピー、b.パスポートの翻訳証明書コピー、c.出入国カードのコピー、が必要となる。b.については、パスポートをロシア語に翻訳の上、公証役場で認証を受ける必要がある。受験料は4,900ルーブル(約1万1,760円、1ルーブル=約2.4円)。

 試験会場では、まず受験手続きとして、申請書と契約書に記入し提出する。申請書については、フォーム1通に名前、国籍、パスポート番号、テストセンター名、電話番号、日付、署名を記載する。契約書については、フォーム2通に名前、パスポート番号、同発行日、電話番号、日付を記入し、署名する。

<ロシア語・歴史・法律の3科目、一部は辞書使用可>
 試験科目はロシア語、ロシアの歴史、ロシアの法律の3種類から成る。ロシア語は外国人向けロシア語テストの基礎レベル(A2)の問題で、文法・単語(制限時間15分、設問数25問)、読解(15分、10問)、リスニング(15分、10問)、ライティング(15分、1問)、会話(10分、10問)の5つのパートで構成されており、全体の制限時間は60分。会話のみ、1人ずつ別室で行われ、会話内容は録音される。各パートで60%以上の正解が合格ラインだ。歴史と法律の制限時間および設問数、合格ラインはともに15分、10問、50%。ライティングと歴史、法律については辞書の使用が可能。回答方法は、ライティングと会話以外のパートについては、選択肢が書かれている回答用紙に丸を記入する形式だった。

 例題は、ロシア・テスト・コンソーシアムのウェブサイトに掲載されている。そのほか、各テストセンターのウェブサイトにおいて実際の形式で掲載されている場合がある。ロシアの法律と歴史については、ほぼ全ての設問がロシア・テスト・コンソーシアムのウェブサイトに掲載されている例題から出題されていた。

 試験結果は即日、判明する。合格証明書は約1~2週間後に受領することができる。合格結果や証明書の発給については、ショートメッセージサービス(SMS)で通知を受け取ることができる場合もある。

<不合格でも再受験できる場合も>
 各テストにおいて基準点に達しなかった場合、ロシア語の1パート、もしくは歴史、法律のうち1つが不合格であれば、再受験料は1,800ルーブルとなる。ロシア語の1パートと、歴史もしくは法律が不合格の場合は2,400ルーブルとなる。なお、不合格の場合でも受験料の払い戻しはない。

 なお、受験の申し込みや提出書類、試験の説明、結果に至るまで全ての手続きはロシア語のみの対応だった。

 本内容は個別事例であり、試験実施状況や必要文書、受験料、試験内容、証明書の発行などについてはテストセンターにより異なる場合がある。

(齋藤寛、島田憲成)

(ロシア)

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