1. サイトトップ
  2. ビジネス短信
  3. ユーラシア経済連合域内でのEV生産と普及を促進

ユーラシア経済連合域内でのEV生産と普及を促進

(カザフスタン、ロシア、アルメニア、ベラルーシ)

モスクワ事務所

2015年03月26日

ロシアで販売が始まっている電気自動車(EV)については、ロシアを含むユーラシア経済連合(EEU)としても、積極的に導入する方向で動いている。ロシアでは既に乗用車とバスのEVが生産されている。今後、EEU加盟国におけるEV産業の育成・発展や、生産と普及、関連インフラ整備を促進するため、ユーラシア経済委員会(EEC)は、税制優遇や補助金拠出などのインセンティブ導入を検討している。

<ジェトロのセミナーでEEC課長が講演>
ジェトロが3月11日にモスクワで開催したセミナー「EEUにおける工業政策実施の課題」で、EEC統一経済圏・加盟国工業複合体発展モニタリング分析課長のドミトリー・フェセンコ氏は「EEUにおける電気自動車生産の展開について」というテーマで講演した。主な内容は下記のとおり。

日本をはじめとする先進国ではEVの生産および普及についてさまざまな政策が実施されているが、EEU加盟国におけるEV市場はまだ生まれたばかりだ。2013年の域内で流通するEVの台数は1,000台未満、輸入台数は120台だったが、2014年2月から2015年末までの期間限定で輸入関税を0%に引き下げた(2014年1月31日記事参照)ことにより、2014年の流通台数は1,250台、輸入台数は250台に増加した。

ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツの予測では、EV分野への国の補助金がない場合、2020年のモスクワ市とモスクワ州におけるEVは5万台にとどまる一方、補助金があった場合は11万台に拡大するとしており、ロシア政府としても同分野の発展を期待している。

EEU加盟国におけるEV生産では、まずアフトワズの乗用車「エルラーダ」が挙げられる。走行可能距離は140キロ(最高速度は時速140キロ、充電時間8時間)と短いが、試験的にロストフ・ナ・ドヌ市でタクシーとして活用されている。また、バシコルトスタン共和国ネフチカムスク市でカマズが電動バスを生産しており、これも走行可能距離200キロ(充電時間8時間)と長くないが市内運行には十分だ。そのほか、スベルドロフスク州エンゲリス市にあるバスメーカーのトロルザも、走行可能距離120キロ(最高速度は時速140キロ)の電動バスを生産している。

<EV部品の域内製造も検討>
EVの部品製造をEEU域内で行うことも検討されている。部品は大きく分けて、a.下部構造、b.牽引電流源、c.牽引駆動システム、d.補助システムの4つから構成されるが、a.については、プレス加工生産、ロボットによるスポット溶接、プラスチック成形、b.については、化学電流源、静電容量ストレージ、c.についてはパワーモジュール、制御モジュール、トランスミッション、d.については微小気候システム、温度管理システムなどが含まれる。

これらの部品の現地生産の可能性が検討されており、プレス部品生産にロシアのセベルスタリとメチェルが取り組み始めている。静電容量ストレージは、ロシアのリオテクやベラルーシのアムコドル・ラジアンが試験生産しているが、連続生産の実績はまだない。温度管理・微小気候システムは、ロシアのプロベントとベラルーシのベザが候補として挙げられるが、コンプレッサーや空調システム部品はEEU域内では生産されていない。パワーエレクトロニクスの制御技術は、ロシアのトミリノ半導体工場、ベラルーシのインテグラルが想定されており、電子部品産業の発展が必要とされている。この分野で、日本企業とロシア企業の協力の潜在性は高いと考えている。

<充電インフラの整備に動き出す>
充電インフラの整備も重要だ。2018年までにモスクワ市とモスクワ州において2,000ヵ所の充電スタンドの設置を計画している。これはフランスや米国、西欧諸国に比べれば小さい目標だが、世界のエネルギー関連会社が連邦政府、市政府と協力して、充電インフラの設置に乗り出している。EEU域内の充電インフラ部品生産企業としては、ロシアのレボルタ(統合ソリューション)、プロムテフレスルス(充電コントローラー)、ベラルーシのインテグラルが挙げられる。

エコカー普及についてはEEU加盟各国と協力し、EV・同部品、充電設備の製造促進、およびEVの使用促進に関する方策を検討している。EVの生産面では、開発・生産に関する資金調達に伴う金利の補助や助成金の導入、必要な輸入部品の関税の引き下げ、メーカーへの税制優遇などが検討されている。他方で、普及面については、所有者への税金や廃車費用の免除、充電設備付きの駐車場の無料使用、充電設備・サービスインフラを設置する企業に対する支援などが想定されている。これらは既にEECで検討されており、今後はEEC幹部会合で検討される予定だ。

(齋藤寛)

(ロシア・ベラルーシ・カザフスタン・アルメニア)

ビジネス短信 551254a268bc8

ご質問・お問い合わせ

記事に関するお問い合わせ

ジェトロ海外調査企画課
Tel:03-3582-3518
E-mail:j-tanshin@jetro.go.jp

ジェトロ・メンバーズに関するお問い合わせ

ジェトロ・メンバーズ

ジェトロメンバー・サービスデスク(会員サービス班)

  • Tel:03-3582-5176 (平日9時~12時/13時~17時)
  • E-mail:jmember@jetro.go.jp