エネルギーや通信分野で日本の技術をアピール−ボゴタとメキシコ市で太平洋同盟国インフラセミナー開催−

(コロンビア、メキシコ)

ボゴタ事務所・メキシコ事務所

2015年03月06日

ジェトロは日本のインフラ輸出の推進に向けた「太平洋同盟国インフラセミナー」をコロンビアのボゴタ(2月17日)およびメキシコのメキシコ市(2月19日)で開催した。両国に対しては日本政府が「太平洋同盟インフラマスタープラン」を作成するなど、インフラビジネスの成長が期待できる市場として注目が集まっている。

<交通インフラ、省エネ技術などを紹介>
ボゴタのセミナーでは「鉄道分野を中心とした輸送インフラとスマートコミュニティー・通信インフラ」がテーマ。当初予定の100人を超える112人が参加した。日本政府を含む日系9機関・企業が日本の得意とする交通インフラ技術、省エネルギー技術、情報通信技術(ICT)、インフラ事業を推進させるファイナンスなどを紹介し、参加者は最後まで熱心に耳を傾けた。

丸紅はベネズエラのカラカスにおける近郊線工事の事例を紹介した。同社はイタリア企業およびベネズエラ企業とコンソーシアムを組み、電車・信号・通信・車両基地設備を請け負った。その後、電車の追加受注があるなど日本製のシステムが高い評価を得ている。セミナーに参加したコロンビア運輸省インフラ課職員は、「コロンビアではインフラを整備することが教育水準向上や経済成長につながる。これからも日本をはじめ技術大国の外国投資を積極的に受け入れていきたい」と期待を寄せた。

戸田建設は「省エネ技術からスマートシティー」というテーマで講演。地熱、大気、太陽光の活用など50の環境配慮技術を取り入れた中規模ビルの事例を紹介。ボゴタは1日の寒暖の差が大きいので、暑い時は断熱性を向上させ、寒い時は日照で温まった空気を空調に利用する技術などを提案した。

NECは生体認証(バイオメトリクス認証)技術や監視システムを紹介した。同社は、コロンビア政府のブロードバンド普及・デジタルデバイド対策計画「Vive Digital」のプロジェクトを受注し、アマゾネス地域を含む電話回線のない地域住民に対して、衛星回線を活用したパソコンやインターネットの普及事業を行っている。

セミナー参加者からは「情報が有益で、各企業の特徴、得意分野についてよく紹介されており、日本がコロンビアにどう協力できるか理解できた」とコメントが寄せられた。

<エネルギー関連事業で協業>
メキシコのセミナーのテーマは「電力・エネルギーなどのインフラビジネス」。日本政府を含む日系14機関・企業がメキシコのエネルギー改革における日本企業の取り組みや、省エネ技術、ICT、インフラ事業を推進させるファイナンスなどを紹介した。

メキシコ三井物産はメキシコ石油公社(PEMEX)と天然ガスなどのエネルギー関連事業で協業し、米国アリゾナ州でガスパイプラインの共同事業をしている。2014年10月には、ヌエボ・レオン州にある製油所に蒸気と電力を供給する熱電併給システム(コージェネ)の建設を発表するなど、石油やガスの開発生産からマーケティングに及ぶ幅広い事業を展開している。

また、メキシコで省エネと温室効果ガス削減調査を行っているレノバは、現地の食品飲料製造業に着目し、製造工場での省エネ提案、日本のガス機器の導入とメンテナンスをパッケージにしている。三浦工業の小型貫流ボイラーを例に挙げ、高い熱効率から日本の食品飲料工場では一般的な機械となっているとして、メキシコでも省エネ製造という観点から提案したいとした。

なお、セミナー冒頭、日本政府代表として関芳弘経済産業大臣政務官が登壇し、「2015年は日本メキシコ経済連携協定(EPA)発効から10年。技術移転・良質な雇用創出・裾野産業の育成を通じ、両国間の関係をより一層発展させていきたい」と述べた。セミナー参加者からは「多くの出席者があり、メキシコ政府・企業の日本のインフラ技術やファイナンス事業に関する関心の高さがうかがわれた」とコメントが寄せられた。

(高多篤史、志賀大祐)

(コロンビア・メキシコ)

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