日・マレーシア間のAEO相互承認が3月1日から開始

(マレーシア、日本)

アジア大洋州課

2015年02月26日

日本とマレーシア間における認定事業者(AEO)制度の相互承認が3月1日から実施される。今後、両国のAEOによる輸出入貨物については、相手国での税関手続きが迅速化、簡素化されることになる。

<通関手続きの迅速・簡素化が狙い>
AEO制度とは、貨物のセキュリティー管理と法令順守の体制が整備された事業者に対して、迅速化、簡素化された税関手続きを利用することを認める仕組み。AEOは輸出入申告時の審査・検査の際にその資格が反映されるほか、貨物の引き取り後に納税申告を行うことなどができる。

AEO制度の相互承認とは、制度を有する2国間でAEOを相互に承認することにより、2国間物流におけるセキュリティーレベルを向上させつつ、国内外で一層の物流の円滑化を目指すもの。マレーシア関税局と日本の財務省関税局は2014年6月27日、ベルギー・ブリュッセルでAEO制度の相互承認に合意し、署名した(2014年7月2日記事参照)。2006年にAEO制度を開始している日本にとってはマレーシアが7番目の相互承認国となり、ASEAN諸国との間ではシンガポールに続き2番目。一方、マレーシアは2010年からAEO制度を開始、相互承認については日本が初めての国となった。日本とマレーシアの相互承認は2015年3月1日から開始し、両国のAEOによる輸出入貨物は、相手国における税関手続きにおいて、その資格が税関のリスク評価に反映され、迅速化、簡素化されることになる。

AEOの相互承認は、各国ごとの制度によって効果が異なるが、日本とマレーシアの相互承認の場合は、輸出入両方において、両国における通関手続きが迅速化、簡素化されることになる(表1参照)。具体的には、日本のAEO輸出者がマレーシアへ輸出する場合、日本国内での通関手続きが迅速化、簡素化されるだけでなく、マレーシア到着時の通関においても、AEOの貨物であることが税関によるリスク評価に反映され、手続きが迅速化、簡素化されることになる。マレーシアのAEOが日本に輸出する場合も同様に、AEOの貨物として日本到着時における日本税関による通関手続きが迅速化・簡素化される。さらに非AEO輸出入者についても、相互承認効果により取引相手がAEOの場合、審査・検査が軽減される。

表1日本・マレーシアのAEO相互承認で期待される効果

<利用には相互承認用コードを取引相手に通知>
AEO相互承認の利用方法は、各国税関の電算システムにおける輸出入者の認識方法の違いなどの理由から、相手国ごとに異なる。日本・マレーシアの場合、日本のAEO輸出入者は、日本・マレーシアの相互承認用コードを取引相手に通知しなければならない(表2参照)。

表2日本・マレーシアの相互承認の利用方法

日本とマレーシア間における相互承認の開始により、両国の輸出入者は、貨物輸送の所要時間が短縮されるとともに、スケジュールの予見性を高めることも可能となり、物流コストの削減効果も期待される。

(手島恵美)

(マレーシア・日本)

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