一部の外国製医療製品の公共調達参入を制限−ロシアとEEU加盟国製品を優遇−

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2015年02月24日

ロシア政府は2月14日、一部の外国製医療製品を対象にした公共調達への参入制限を導入した。対象の製品については、公共調達案件において、2件以上のロシアおよびユーラシア経済連合(EEU)加盟国製品の応募があった場合、外国製品の応募は却下される。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<施行日前の案件などは規制の対象外に>
対象となる品目の一覧は添付資料のとおり。制限措置を規定した2015年2月5日付連邦政府決定第102号「国および地方自治体の調達における特定の外国製医療製品の参入制限の規定について」によると、国および地方自治体による公共調達において、入札要件を満たすロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン製の医療製品の提案を含む応募が2件以上あった場合、発注者はこれらの国以外の外国製品を含む全ての応募を却下する。アルメニア、ベラルーシ、カザフスタンは、ロシアとEEUを構成する国々で、国産品と同様の扱いを受ける。

「2件以上の応募」の基準として、原産国をEEU加盟国としている。また、対象品リストに含まれる種類の製品を含む提案でも、1つのメーカーの同一製品からなる提案は除くとしている。

本措置は2月14日に施行された。施行日前に、公共調達の統一ウェブサイトで公示された案件や、指名通知が行われた非公開案件などは本措置の対象外となる。

連邦国家統計局によると、2012年における病院6,172施設のうち公立病院は5,947施設とそのほとんどを占めている。また、外来診療所数でも1万5,777施設のうち公立診療所は1万2,029施設と全体の8割近くを占める。

<輸入代替と国内産業支援が目的>
同決定では、制限措置導入の根拠として、2013年4月5日付連邦法第44−FZ号「国および地方自治体による物品・役務・サービスの調達における契約体系について」の第14条第3項を挙げている。同項では、国内市場の保護、国民経済の発展、国内生産者の支援などを目的に、ロシア政府は外国製の物品、役務、サービスの参入を禁止できると規定している。

また本措置は、プーチン大統領が2014年12月の年次教書演説で触れた輸入代替政策の一環ともみられる(2014年12月24日記事参照)。政府の緊急経済対策の1つとしてまとめられた2015年1月27日付連邦政府指示第98−r号「持続的経済発展および社会の安定を実現するための優先的行動計画」の中で、工業商務省が2月15日までに本措置を策定することが盛り込まれていた。

2014年3月にも同様の趣旨で特定の外国製医療用品の公共調達参加を禁止する法案が公開されたが、導入に至らなかった。

ロシアの中小企業団体「オポラ・ロシア」の理事で、X線装置メーカー「医療技術」のアナトリー・ダバゴフ会長によると、これまで何度もオポラを通じて政府に外国製品参入制限の導入を働き掛けてきたという。ダバゴフ会長は「これはオポラと医療製品産業全ての勝利だ。経済危機の影響でこのところ医療製品市場は縮小しているので、外国製品を制限して国内メーカーを支援することは極めて重要だ」と評価している(オポラ・ロシアウェブサイト2月10日)。

電子メディア「レグナム」(2月9日)によると、医療製品市場に占めるロシア製のシェアは18〜20%にとどまる。市場の約3割は外国製品だが、ロシア製の類似品が存在しない分野だ。残りの約5割の分野でロシア企業の参入機会が拡大するという。ロシア政府は2020年までに国産品シェアを40%に引き上げる方針だ。

(浅元薫哉)

(ロシア)

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