為替制度をバンド制から管理フロート制に移行

(コスタリカ)

ビジネス情報サービス課

2015年02月19日

コスタリカでは2月2日、為替制度がバンド制から管理フロート制に移行した。これまで中央銀行が設定していた為替レートの変動幅の上限と下限が撤廃され、為替レートが需給関係に従って自由に変動することになる。

<高水準の外貨準備高が移行を後押し>
中央銀行は1月31日、2月2日から為替制度をバンド制から管理フロート制に移行すると発表した。これにより、インターバンク市場「MONEX」における為替変動幅の上限(買い)と下限(売り)が撤廃された。為替レートは需給関係に従って決定され、為替レートの変動に異常がみられた場合に、中銀は事前にアナウンスすることなく為替介入を行うことで為替レートを誘導することになる。

中銀はこれまで、為替レートの過度な変動を制御し、為替レートの偏向を修正するためのメカニズムを整備してきた。2014年6月26日には非金融公的機関(SPNB)の為替管理体制を変更し、SPNBが必要な外貨はMONEXではなく外貨準備から供給することとし、個人や企業が自由に為替取引をすることができるMONEXにおけるSPNBの影響を排除した。コスタリカ電力・通信公社(ICE)やコスタリカ石油精製公社(RECOPE)などのSPNBは為替取引額が大きく、為替相場に及ぼす影響も大きかったためだ。

こうしたメカニズムの整備に加えて、最近の物価安定、通貨需給の均衡、外貨準備高がGDPの14%に相当する高水準にあることも、管理フロート制への移行を後押しした。

<移行後、相場に大きな変動なし>
コスタリカでは、慢性的なインフレの解消に向けて2006年10月17日、将来的な変動相場制を前提に、通貨を少しずつ切り下げるクローリング・ペッグ制から、為替変動幅に上限・下限を設けるバンド制に移行した。変動幅は当初、1日当たりの上限を0.06コロン(約0.0132円、1コロン=約0.22円)、下限を0.14コロンずつ広げた。その後、マクロ経済情勢や急激な為替変動を考慮して変動幅を複数回変更し、2009年1月22日以降は上限を0.20コロンずつ広げ、下限は500コロン固定となっていた。下限の固定は急激なドル高への対策として、2008年7月16日に導入された措置だ。

2013年12月13日以降、為替レートは変動幅の上限と下限の範囲内で推移してきた(図参照)。為替レートが変動幅を超えることによる為替介入は行われていないことから、為替相場は実質的にはフロート制の状態にあった。

管理フロート制への移行から2週間が経過したが、為替レートに大きな変動はみられない。これまでも為替レートは安定していること、急激な変動に対しては中銀が為替介入することから、産業界からは管理フロート制への移行に反対する声は上がっていない。

MONEXにおけるコロンの対ドルレートの推移

(西澤裕介)

(コスタリカ)

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