和食振興イベントに食品関係者400人が参加−日本茶、コメ、和牛の魅力をセミナーと試食でアピール−

(日本、ドイツ)

ベルリン事務所

2015年02月16日

ベルリンで開かれた世界最大の食品・農業・園芸見本市「ベルリン国際緑の週間」に合わせた和食の普及振興イベント「Taste of Japan」が1月16日、日本の農産品輸出団体とジェトロにより開催された。和牛・日本茶・コメをメーンテーマとし、セミナー、ワークショップ、レセプションの3部構成からなるイベントにはドイツ各地のレストランやホテル関係者、食品関係のバイヤーなど約400人が参加し、多彩な「和食」の魅力を堪能した。

<3部構成の日本産農産品輸出促進イベント>
ベルリン見本市会場では、食品と農業・園芸に関する見本市である第80回「ベルリン国際緑の週間(IGW)」が1月15〜24日に開催された。今回は延べ8万人以上のビジネス関係者に加え、延べ33万人を超す一般来場者が訪れ、70ヵ国・地域、1,600以上の出展者がさまざまな食品の展示、試食品の提供を行った。

期間中、300以上のセミナー、専門会合が開催された。60以上の国・地域、国際機関が参加する第7回ベルリン国際農相会合はその中でも最も重要な会合で、日本からは針原寿朗農林水産審議官が出席して、代表演説を行った。

ジェトロとコメ・コメ加工品、牛肉および日本茶の輸出団体は1月16日、ベルリン中心部のマリティムホテル・ベルリンで、ドイツ各地の食品業界などの関係者を対象としたセミナー、ワークショップ、レセプションの3部構成のイベントを開催した。

本イベントは、2014年1月にベルリンで開催された和食普及イベントに続くもので〔2014年のイベントには第6回農相会合に出席した林芳正農林水産相(当時)も出席した〕、日本産農産品をアピールする継続的な取り組みとして、当地では認知されてきている。

2020年までに農林水産物・食品の輸出額を1兆円に拡大するという日本政府の目標達成に向け、輸出拡大に向けた品目別輸出団体として、コメ・コメ加工品は「全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会」、牛肉では「日本畜産物輸出促進協議会」、日本茶では「日本茶輸出促進協議会」が2014年末に新たに設立された。本イベントはこれら新団体設立後初めての輸出プロモーション活動となった。

<日本茶の多様性をソムリエが紹介>
第1部のセミナーでは日本茶の紹介が行われた。日本茶輸出促進協議会の理事でお茶ソムリエの資格を持つ高宇政光氏が、さまざまな産地や異なる製法など、日本茶の多様性について説明した。また、日本茶が持つ伝統的な側面とモダンな側面を、日本と欧州のカフェを例に挙げ、日本茶の欧州における受容のされ方も紹介した。さらに、和菓子だけではなくケーキやクッキーなど洋菓子にも抹茶が幅広く利用されていることをアピールした。

続いて、ドイツ在住の日本料理研究家、河野章子氏がコメを中心とした日本食文化について紹介した。特に参加者の興味を引いたのが日本とドイツのコメの炊き方の違いだった。河野氏はドイツの炊飯方法について「日本人が初めてドイツ人のコメの炊き方を見たらショックを受けるだろう」と冗談を交えながら説明した。ドイツではコメを研ぐ習慣はなく、パスタのようにゆでて食し、ゆでたお湯をそのまま捨てる人が多い。

<ジャパンブランドの和牛に高い評価>
セミナーの最後には、日本畜産物輸出促進協議会の菱沼毅理事長と日本獣医生命科学の大学木村信熙名誉教授から和牛の紹介が行われた。和牛の飼育は明治時代から行われており、積み重ねられた伝統と技術の蓄積などをアピールした。和牛は少数の群れで飼育されており、細部に行き届いた牛舎と適切な餌の管理、そして畜産農家の愛情が注がれていることや和牛マークの認定による差別化を進めていることも紹介された。参加者からサンプルの霜降り肉の美しさに感嘆の声が上がり、舌の上でとろけるような芳醇な食感はほかの肉では味わうのが難しいだろうとの感想も聞かれた。

<日本食材を使ったさまざまな料理を実演>
第2部のワークショップは食材ごとに別々の会場で行われ、各セミナーの講演者が料理を実演した。コメの会場では全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会が炊き込みご飯と押しずし作りを実演し、試食が行われた。参加者からは、「炊き込みご飯は初めて食べた。簡単に作れて美味しかった」「パワフルなデモンストレーションでコメに対する日本人の熱心さが伝わった」などの声が寄せられた。

食肉事業者によって行われたワークショックでは、ドイツでは珍しい薄切り肉を使ったしゃぶしゃぶやすき焼きが振る舞われ、スライス肉を使った華盛りの実演では参加者から拍手が沸き起こった。日本茶の会場では、茶の手もみや石臼による挽き茶の実演などが行われ、繊細な日本茶の製造工程の説明を多くの参加者が興味深く聴講した。

第3部では針原農林水産審議官と中根猛・駐ドイツ大使のあいさつの後、和牛のステーキ、すき焼き、握りずし、押しずし、炊き込みご飯、緑茶、冷茶、そば、イチゴ(品種は「あまおう」)、リンゴ、日本酒などがふるまわれた。ただし、押しずし薄味で上品な風味は、味の濃い食べ物に慣れているドイツ人にはあまり理解できなかったようだ。

(クリューガー・ユリア、川幡嘉子)

(ドイツ・日本)

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