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初のEPAを日本と締結、経済の多元化に期待−日本−モンゴル・ビジネスミーティング−

(モンゴル、日本)

中国北アジア課

2015年02月16日

2月10日、モンゴルにとって初めてとなる経済連携協定(EPA)が日本との間で締結された。ジェトロは同日、訪日中のチメド・サイハンビレグ首相を都内の本部に招き、「日本−モンゴル・ビジネスミーティング」を開催した。同首相は、2014年11月の相就任以来、連立内閣による安定した政権基盤を背景に、経済を最優先課題として外国からの投資を呼び込むよう努めていると述べた。ビジネスミーティングの概要を報告する。

<鉱物資源探査ライセンスの発行を再開>
ビジネスミーティングは、ジェトロとモンゴル政府、日本モンゴル経済委員会が主催し、商社、金融、製造業などの企業や関係機関から174人が出席した。冒頭あいさつしたジェトロの石毛博行理事長は、近年、日本企業のモンゴルへの関心が高まっていること、ジェトロは2012年、ウランバートルに連絡事務所(コレスポンデント)を配置しモンゴルの経済情報発信を強化していることを紹介した。

続いてサイハンビレグ首相は、首相就任以来初の外国訪問となる今回の日本滞在中に、モンゴルにとって初めてのEPAを日本と締結すると述べた。連立内閣を発足させ政権基盤を安定させたこと、政治の安定を背景に社会の要請でもある「決定できる内閣」を目指し、経済を最優先課題として外国からの投資を呼び込むよう努めているとして、具体的には、過去4年間停止していた鉱物資源探査ライセンスの発行を再開したことを取り上げた。

また、2013年11月施行の新投資法、投資基金法により国内外の区別なく投資家に法的保証が付与されるようになったことや、モンゴルから輸出する際の障壁である第三国通過輸送に関して通過輸送に関する協定を中国と締結し、ロシアとも交渉していることなど、投資環境の整備状況を紹介した。

<経済の健全な発展に向け日本に期待>
レンツェンドー・ジグジッド鉱業相は、「モンゴルの地質、鉱業、石油セクターと政策」について次のように講演した。

2014年、モンゴルの鉱業はGDPの18.7%、財政収入の21.9%、輸出の83.8%を占めた。石炭、銅、金などの確認埋蔵量が世界10位以内と鉱物資源が豊富で、まだ探査されていない地域もある。また、中国、ロシアの大市場と国境を接している優位性もある。2014年1月には鉱物資源法を改正し、長期的に安定して鉱業投資を行えるよう法整備を行った。日本とのEPA締結により、両国の鉱業が発展することを期待している。

また、モンゴル銀行のナイダンスレン・ゾルジャルガル総裁は、「マクロ経済の現状」と題した講演で次のように述べ、鉱物資源に偏った経済構造から脱却するため、日本との経済協力に期待を寄せた。

鉱物資源はモンゴルの輸出の8〜9割を占め、国際価格が下がるとモンゴル通貨トゥグルクの為替レートも下がる。貿易収支は2010〜2013年は赤字だったが、2014年は黒字に転じた。トゥグルク安によるインフレは改善しつつあり、経済環境は良好になってきている。

対内直接投資は中国への依存度が高い。GDPが100億ドル規模のモンゴルにとって、外国からの投資が果たす役割は大きく、経済の安定のために、対内直接投資の業種と投資国の多元化が課題となっている。モンゴル経済の安定した健全な発展に日本からの投資が必要であり、その促進のために日本とのEPA締結に期待を寄せている。

<鉱業のほか農牧業にもポテンシャル>
オチルバト・チョローンバト首相経済政策顧問は「EPAの活用」について次のとおり講演した。

日・モンゴルEPAは、日本にとって15番目、モンゴルにとっては初めてのEPA締結となる。目的は、2国間貿易の拡大、日本からの投資拡大、高付加価値品の輸出拡大、日本からの高度な技術の移転促進、外貨流入の拡大、関税と貿易障壁の撤廃・削減、貿易・通関手続きの簡素化、投資環境の改善で、貿易にとどまらない包括的な内容となっている。

物品貿易では、発効後10年以内に関税がほぼ撤廃される。これを見越して、日本の製造業にモンゴルへの投資を勧めたい。鉱業以外では農牧業にポテンシャルがある。日本に輸出できる品質の製品を作ることができれば、日本以外の国にも出荷先は広がる。隣国である中国は食料品輸入が右肩上がりで増えている。日本の技術を生かしてモンゴルの農牧業産品を加工すれば、安全な食料品を求める中国に輸出することもできるだろう。EPA締結により新しい経済状況が生まれることを期待している。

<鉱物資源探査ライセンスは内外無差別>
講演後、日本側の出席者とモンゴル側で、以下のような質疑応答があった。

問:鉱物資源探査ライセンス取得に出資制限などの外資規制はあるか。

答:外資規制は基本的にない。ライセンス申請には、申請と入札の2種類ある。入札については、国が探査して有望と判断した鉱区が対象となり、国が投じた探査調査費を上回る入札価格が入札条件だ。入札価格は内外無差別となっている。

問:モンゴルから日本への輸送時に使う中国とロシアの港はどこか。

答:中国は最も近いのが天津港、ロシアはウラジオストク港、ナホトカ港だ。

問:再生可能エネルギー案件への支援は。

答:風力発電で実施しているものがある。また、共同出資者を探している水力発電所の案件がある。

問:カナダや韓国の企業の探査ライセンスの取得状況は。

答:五百数十社が計2,730件のライセンスを取得している。うちカナダは8社17件(構成比0.6%)、韓国は13社19件(0.7%)。日本の企業は1社が1件のライセンスを取得している。

問:建設中の新ウランバートル国際空港の完成で人の流れがどう変わるか、夢を聞かせてほしい。

答:ウランバートルは地理的には世界のハブ空港になり得る。東京から4時間の距離にあり、空路のハブとなることが夢。なお、空港の運営に日本企業が参画することを要望している。

問:医療・福祉分野への投資に関して。

答:行政の関与を減らし、民間経営に移行する医療改革を2015年に行う。日本から医療機器を導入する需要が出てくると思う。

問:国内輸送インフラの整備計画は。

答:国内輸送インフラが十分整備されていないことを認識しており、鉱山開発の前に国内輸送インフラを整備することが焦眉(しょうび)の課題。官民連携(PPP)手法で高速道路や鉄道建設の案件形成を図っている。新空港に至る道路については、日本側から建設し移管するとの提案を受けている。

問:中国と締結した通過輸送に関する協定の中身は。

答:モンゴルから輸出する貨物量の3分の1を対象に、軽減料金でトランジット輸送できるというものだ。

(日向裕弥)

(モンゴル・日本)

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