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原産地証明に初めて自己申告制度を導入−日豪EPA発効前セミナーを開催−

(日本、オーストラリア)

アジア大洋州課

2015年01月14日

1月15日に日本・オーストラリア経済連携協定(日豪EPA)が発効する。ジェトロと経済産業省は2014年12月19日、同EPAの概要や利用方法を説明するセミナーを都内で開催した。EPAの発効により、今後10年間で両国の往復貿易額の約95%の関税が撤廃され、特にオーストラリア側では全ての農林水産品、多くの鉱工業品の関税が即時撤廃される。また原産地証明手続きの簡素化のために、日本では初めて自己申告制度が導入される。

<インフラ、農業、富裕層向けにビジネスチャンス>
セミナー冒頭、国際経済交流財団(JEF)の土屋隆業務部長(前ジェトロ・シドニー事務所長)が、日本とオーストラリアの経済関係について講演した。概要は以下のとおり。

オーストラリアは民主主義に根付いた政治体制や各種法整備が進んでいるため、日系企業にとって安心してビジネスができる環境が整っている。日本からオーストラリアへの輸出は自動車関連製品が中心で、オーストラリアから日本への輸出の中心は鉄鉱石、石炭、液化天然ガス(LNG)などの資源だ。資源以外にも、小麦や牛肉など身近なところにオーストラリアからの輸入品は多い。

日本企業のオーストラリアでのビジネスチャンスとして、以下の3点が挙げられる。第1に、インフラ投資。官民連携(PPP)により、民間資金を活用したインフラ整備が進み、多くの日系企業が参入しているが、今後の伸び率を考えると参入の余地はまだ大いに残されている。

第2に、農業分野。特に、生産段階ではなく農業関連の流通や販売分野に目を向ける商社が多い。中国も農業分野には積極的だが、オーストラリアで生産された農産品を中国へ輸出するというパターンが主流だ。一方、日本企業はオーストラリアからASEANを中心としたアジア地域への販売拡大を視野に入れ活動している。

第3に、生活用品、アパレル、日本食などの分野での富裕層向けビジネス。富裕層を年間可処分所得3万6,400オーストラリア・ドル(約349万円、1豪ドル=96円)以上とすると、人口の半数以上が富裕層だ。既に無印良品、ユニクロ、外食チェーンのやよい軒などが進出し、富裕層向けに店舗を展開している。

<オーストラリア側の全ての農林水産品、多くの工業品の関税は即時撤廃>
続いて、経済産業省通商政策局経済連携課の植松健課長補佐が2015年1月15日に発効する日豪EPAの概要を、次のように説明した。

2003年に共同研究を始め、2007年から2012年にかけ16回の交渉会合を重ね、2014年4月に大筋合意し、7月に署名に至った。日豪EPA発効により期待される成果としては、(1)アジア太平洋地域のルール作りの促進、(2)日本企業・投資家の競争力確保、(3)日本企業・投資家の活動の円滑化、(4)エネルギー・鉱物資源、食料の安定供給の強化、の4点が挙げられる。

中でも、日豪EPAの特筆すべき特徴として、以下の2点が挙げられる。1点目は関税撤廃による市場アクセスの改善だ。日豪EPAの発効により、今後10年間で往復貿易額の約95%の関税が撤廃される。日本からオーストラリアへの輸出は特に即効性が高く、鉱工業品では完成車輸出額の75%、エアコン、テレビ、蓄電池などの全ての一般機械、電気・電子機械は関税が発効時に即時撤廃される。自動車部品は即時撤廃を含めて主に3年以内で撤廃される。農林水産品については全ての品目で即時撤廃される。

オーストラリアから日本への輸入については、鉱工業品のほぼ全ての品目の関税が即時から10年間で撤廃される。農林水産品は、コメが関税撤廃の対象から除外され、牛肉については段階的に関税が削減される。輸入量が一定量を超えた場合に関税率を引き上げるセーフガードが導入されている。

2点目は原産地証明に自己証明制度を導入したことだ。日豪EPAでは、EPAを活用する事業者の利便性向上の観点から、産品の輸入者、輸出者、生産者のいずれかが作成する「原産品申告書(輸入貨物が原産品である旨の申告書)」を提出することで利用可能となった。

その他の特徴として、エネルギー・鉱物資源の分野では、特定の品目について輸出を制限する措置を導入しないように努めることを約束し、仮に制限を導入する場合には協議に応じ、事前の通報を義務化した。石炭の64%(2013年)、鉄鉱石の67%(同)をオーストラリアから輸入している日本にとって、資源の安定的な供給に資することになり大きな意義がある。

<生産者、輸出者、輸入者が原産品申告書を作成可能>
続いて、財務省関税局関税課の多賀祐明税関考査官が自己申告制度の手続きについて、以下のとおり説明した。

自己申告制度を利用して原産地証明を行い、オーストラリアから輸入する場合、原産地証明書は不要だが、通常の輸入申告書類に加え、原則として「原産品申告書」および「原産品であることを明らかにする書類(契約書、生産証明書、総部品表など)」の提出が求められる。

ただし、課税価格の総額が20万円以下の貨物と、AEO事業者(注1)に係る特例申告貨物の場合には「原産品申告書」の提出は不要となる。また、「原産品であることを明らかにする書類」も、(1)文書による(原産地の)事前教示を取得している場合、(2)一次産品(鉱物など)であって、仕入れ書などの通関関係書類により、オーストラリアの完全生産品であることが確認できる場合、(3)課税価格の総額が20万円以下の貨物の場合は提出しなくてもよい。

オーストラリアへ輸出する際も、生産者、輸出者、輸入者のいずれかが原産品申告書を作成することができる。オーストラリア税関当局も、自己申告制度を利用する場合は原産品申告書に加え、必要に応じてその他資料の提出を求めることになっている。

自己申告制度に関しては、税関のウェブサイトに「自己申告制度利用の手引き」を掲載している(注2)。なお、従来のEPAで使用してきた第三者証明制度(第三者機関が「原産地証明書」を発給)も引き続き利用することができる(注3)。

(注1)貨物のセキュリティー管理と法令順守の体制が整備された事業者に対する税関手続きを緩和・簡素化する制度。
(注2)日本税関ウェブサイト「自己申告制度利用の手引き」参照。
(注3)日本では日本商工会議所が原産地証明書を発給している。

(磯崎静香、安長裕)

(日本・オーストラリア)

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