3品目の熱延鋼板に23.93%の暫定セーフガード税率を適用−仮決定内容を公表−

(マレーシア)

クアラルンプール事務所

2014年12月26日

マレーシア政府は12月11日、熱延鋼板(厚板)に対するセーフガード調査の仮決定内容を公表した。それによると、一定の除外措置の下で、12月14日から3品目の熱延フラットロール製品に暫定セーフガード税率23.93%が適用されている。当該暫定セーフガード税率は2015年7月1日まで適用されることになっており、政府は同年6月30日までに最終決定を行うこととなっている。

<2014年8月にセーフガード調査を開始>
マレーシア国際貿易産業省は、「Ji Kang Dimensi」の提訴を受けて、2014年8月に、熱延鋼板(厚板)に対するセーフガード調査の開始を決定。対象は、HSコード7208.51.000、7208.52.000、7225.40.000(ASEAN域内の場合は、AHTN7208.51.0000、7208.52.0000、7225.40.9000)の3品目。政府は、セーフガード調査の開始決定後、10月に日本を含めた利害関係者が多数参加する公聴会を開催。その後、当初の予備調査の期限(11月13日)を1ヵ月延長し、12月11日に仮決定内容を公示した。

その公示によると、2014年12月14日から2015年7月1日までの間、中国や韓国、日本を含めた42ヵ国を対象として、措置対象の熱延フラットロール製品(対象となるマレーシア輸入HSコードは上記と同様)に対して、暫定セーフガード税率である23.93%が適用される。ただし、10カテゴリー〔自動車、ボイラー・圧力容器、石油・ガス用の海洋構築物、同用のラインパイプ、同用の構築物(沿岸用)、造船、耐食性鋼板、機械構造用鋼板、ダンプカー・ホッパー貨車など、揚重機など〕に使用される一定の規格やグレードを満たすもの(規格数では391品目)は、適用除外となっている。詳細については、マレーシア政府の官報「11 December 2014 P.U.(B)543」と「11 December 2014 P.U.(A)327」を参照。

<3品目合計で日本から約8万トン輸出>
日本からマレーシアへの2013年の調査対象品目の輸出量は、非合金鋼の板厚10ミリ超の厚板(HSコード7208.51)が最も大きく6万6,265トン、続いて非合金鋼の板厚4.75〜10ミリの厚板(7208.52)が1万1,598トン、合金鋼厚板(7225.40)が5,307トン、3品目合計で8万3,170トンだった(表1参照)。3品目の全世界への輸出合計は約374万トンで、マレーシアが占める割合は低い上、マレーシアへ輸出される品目は適用除外となっている前述の10カテゴリーに含まれるケースがほとんどを占めるとみられることから、影響は限定的とみられる。しかし、個々の企業により置かれている状況は異なっているため、当該HSコードの製品を輸出する企業などにおいては、適用除外の適否を含めて詳細を確認しておく必要がある。

表13品目の日本からマレーシアへの輸出量

<適用除外の適否など詳細の確認が必要>
一方、マレーシアの輸入量は、上記3品目の合計で、2013年は約33万8,000トンで、その評価額は約2億6,790万ドルに上る(表2参照)。特に、HSコード7208.51.000は2013年で1億7,780万ドルに達する。3品目の輸入額を国別でみると、日本、韓国、ウクライナ、中国からのシェアが大きい(表3参照)。このため、主に当該4ヵ国から輸入製品を調達しているマレーシア国内の日系企業や、それを材料とした部品の製造・組み立てを行っている企業においては、適用除外の適否やその運用手続きなどを中心に、個々の企業の事業リスクを適切に評価しての対応が必要だろう。

表23品目のマレーシアの輸入額
表33品目のマレーシアの輸入額上位5ヵ国〔2014年(1〜9月)〕

<2015年6月末までに最終決定>
マレーシアのセーフガード法(Safeguard Act 2006)によると、調査当局は仮決定の公示日から200日以内に最終決定を行わなければならないと規定されており、政府は仮決定を公示した2014年12月11日から200日以内の2015年6月30日までに最終決定を行うことになっている。このため、最終決定の動向には引き続き注視する必要がある。

(竹永祥久、ハズミ・マンソール)

(マレーシア)

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