ベトナムとロシアなど関税同盟とのFTA交渉妥結

(ベラルーシ、ベトナム、カザフスタン、ロシア)

ハノイ事務所

2014年12月19日

ベトナム政府は12月15日、ベトナムとロシア・ベラルーシ・カザフスタン関税同盟との自由貿易協定(VCUFTA)交渉が妥結したと発表した。2015年初めに正式締結される予定。

<関税同盟では初のFTAに>
ベトナム政府は12月15日、南部キエンザン省において、VCUFTA交渉が妥結したことを発表した。ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの3ヵ国は関税同盟を結んでおり、外部地域との貿易で共通の政策を取っている。VCUFTAが発効すると、この3ヵ国の関税同盟では初のFTAとなる。ベトナムは11月時点で8協定〔FTA/経済連携協定(EPA)〕が発効済み、5協定(同)が交渉中だったが、12月にベトナム・韓国FTAとVCUFTAの2協定の交渉が妥結した。

VCUFTAは、2012年9月5日にロシアのウラジオストクで開催されたAPEC閣僚会議でベトナムのブー・フイ・ホアン商工相とユーラシア経済委員会(ロシア、ベラルーシ、カザフスタンで構成)のアンドレイ・スレプニョフ通商担当が交渉入りすると発表され、2013年3月28日にハノイで正式交渉を開始した。

その後の交渉を経て、2014年12月8〜14日の第8回会合において交渉が妥結した。12月15日にグエン・タン・ズン首相出席の下、ホアン商工相とスレプニョフ通商担当が交渉妥結の署名をした。

<2020年までに貿易額100億ドルを見込む>
VCUFTAはWTOの原則に基づいて行われ、双方にとってセンシティブな分野や双方の発展に格差がある場合には考慮に入れるとしている。具体的には、物品貿易、原産地規則、貿易救済措置、サービス貿易、投資、知的財産、衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS)対策、貿易の技術的障害のルール(TBT)、電子取引技術、競争などの分野から構成される。

ベトナム税関総局によると、2013年のベトナムとロシア、ベラルーシ、カザフスタンとの貿易額は27億6,300万ドル。スレプニョフ通商担当は、VCUFTA発効により、この貿易額は2020年までに100億ドルになると見込んでいる。ベトナム側には農産品、水産品、縫製、靴、木製品の輸出で恩恵がある一方、畜産品、機械設備、輸送機器市場を関税同盟側に開放することになっている。

なお、2015年初めのVCUFTA正式締結に向けて、幾つかの技術レベルでの問題解決と諸手続きが進められる。

(佐藤進)

(ベトナム)

ビジネス短信 549140b703a98