製造業、非製造業ともに不振で前年同期比37.4%減−2014年上半期の対中直接投資動向(14)−

(韓国、中国)

ソウル事務所

2014年11月07日

2014年上半期の韓国の対中直接投資額(実行ベース)は、製造業、非製造業ともに不振で前年同期比37.4%減の15億5,600万ドルだった。省・市別投資先では化学原料品・化学製品製造の大型案件が投資された湖北省が1位となった。特集の最終回。

<対中投資のシェアは12.8%に低下>
2014年上半期の韓国の対外直接投資(実行ベース)は、前年同期比13.0%減の121億6,700万ドルだった。うち、対中直接投資は37.4%減の15億5,600万ドルと、韓国の対外直接投資の不振の一要因となった。これにより、対外直接投資に占める対中直接投資のシェアは12.8%に低下した(図参照)。

韓国の対中直接投資の推移

2014年上半期の対中直接投資を業種別にみると、製造業が前年同期比35.0%減の13億7,800万ドル、非製造業(全業種から製造業を除く)が51.5%減の1億7,800万ドルとなり、ともに大きく減少した(表1参照)。他方、対中直接投資に占める製造業の割合は88.6%を占める結果となった。

製造業を詳しくみると、電子部品・コンピュータ・映像・音響・通信装置が前年同期の13億9,800万ドルから5億1,300万ドルに急減し、製造業部門の投資の減少の大きな要因となった。同部門の急減は、2013年上半期にサムスン電子が陝西省西安市に半導体工場を設立したが(2014年5月9日完工)、この投資が一段落したことの影響とみられる。

他方、大半の業種が横ばいか減少だった中で、化学品・化学製品は約3.2倍の4億2,000万ドルと大幅に増加した。韓国政府と韓国輸出入銀行は個別案件を発表しないが、各種マスコミなどは同分野の伸びについて、SK総合化学と中国石油化工集団(シノペック)が合弁で設立した「SINOPEC−SK(WUHAN)Petrochemical(注)」の本格稼働によるものとしている。

表1韓国の業種別対中直接投資(実行ベース)

<SK総合化学の投資で湖北省がトップに>
2014年上半期の対中投資額を省・市別でみると、湖北省が3億6,800万ドルと全体の23.6%を占め、1位だった(表2参照)。湖北省への投資の急増は、前述したSK総合化学の投資先が同省の武漢市であることが影響していると推測できる。実際に韓国輸出入銀行の統計では、2014年上半期に湖北省へ行われた化学品・化学製品の投資は1件だが、金額は3億6,000万ドルと多額だった。化学品・化学製品のシェアは対中直接投資全体でみても3割近くになった。

湖北省に続き、広東省が2億4,600万ドル、江蘇省が1億6,900万ドル、陜西省が1億6,800万ドルなどとなり、対中直接投資総額に占める上位10省・市のシェアは92.4%を占めた。

表2韓国の省・市別対中直接投資(実行ベース)

(注)シノペックとSK総合化学が65:35の割合で設立したナフサ分解設備で、3兆3,000億ウォン(約3,630億円、1ウォン=約0.11円)規模のプロジェクト。ポリエチレン、ポリ塩化ビニールなどを生産するもので、2014年1月から商業生産を開始。

〔李海昌(イ・ヘチャン)〕

(韓国・中国)

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