模倣品取り締まりには企業からの製品情報が重要−ホーチミン市で真贋判定セミナー開催−

(ベトナム)

ホーチミン事務所

2014年10月15日

ジェトロ・ホーチミン事務所と日本の経済産業省は9月16日、ホーチミン市内で真贋(しんがん)判定セミナーを開催した。日系企業6社が、同市や周辺各省で模倣品の取り締まりに携わる各機関の職員71人に対して、自社製品の真正品と模倣品の見分け方や現状について説明した。

<日系6社が自社製品の真贋判定方法を説明>
真贋判定セミナーは、日系企業が模倣品の取り締まり機関の職員に対して、自社製品の真贋判定の方法を理解してもらうことを目的に、2013年に続いて2年連続ホーチミン市で開催した。今回のセミナーでは、日系企業6社がハノイ市およびホーチミン市と周辺南部各省の科学技術省監査局、財務省税関総局、商工省市場管理局、公安省経済警察の模倣品取り締まりに関係する機関の計71人に対し、自社製品の真贋判定の方法を説明した。

セミナー終了後には真正品と模倣品のサンプル展示を行い、セミナー参加者に手で触れてもらい、セミナーで説明した真贋判定方法を深く理解できるようにした。参加者からは「真贋判定方法に関する具体的で有益な情報があり、今後も引き続き開催してほしい」などの声が聞かれた。

関係機関職員に説明を行う様子(筆者撮影)

<取り締まり強化には関係機関の連携が不可欠>
今回、セミナー参加者に対して実施したアンケートで、最近の模倣品の発生事例について聞いたところ、食品関係、電池、バッグ、化粧品、衣類など多岐にわたっていた。また、セミナー終了後に参加した日系企業と市場調査を行ったところ、実際にさまざまな模倣品が販売されていることが確認できた。最近は、オンラインショップでも模倣品が横行しているという。ホーチミン市のカットライ港の税関担当者によると、ベトナムで横行している模倣品は中国で製造された品が多いため、特に中国からの貨物については注意深く通関業務を行っている、とのことだ。

模倣品は真正品よりも安価で、またベトナム人消費者も真正品かどうかをそれほど意識せず、値段の安さで購入してしまうことがベトナム市場で模倣品が横行している理由として考えられ、摘発には取り締まり機関への積極的な情報提供と協力体制を築くことが重要となる。ある税関の担当者は「取り締まりの人員は限られており、ノウハウもそれほどない」とする一方で、「そのため、取り締まりには企業からの製品に関する情報や真贋判定方法に関する情報が重要」と話していた。最近では模倣品も精巧になってきており、企業からの情報提供の重要さが増してきている。効果的に取り締まりを行うためには関係機関の協力体制を構築することが重要といえそうだ。

(レ・ティ・トゥ・フエン)

(ベトナム)

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