資本財などの関税低減措置の申請手続きが煩雑に

(ブラジル)

サンパウロ事務所

2014年10月06日

開発商工省貿易審議会(CAMEX)は8月14日、資本財と情報通信関連機器の輸入関税の低減措置(Ex−Tarifario)に関する決議66号を発表し、同月15日の官報で公示した。これに伴い4月3日付のMDIC/CAMEX決議17号は廃止された。低減措置の申請方法が変更になったり申請書類の記載項目が増えたりするなど、手続きがより煩雑になっている。

<申請書の記載項目が追加>
Ex−Tarifario制度は、国産品が存在しない資本財、情報通信関連機器に対する関税率の低減措置で、南米南部共同市場(メルコスール)対外共通関税番号(NCM)に、「BK」(資本財)、「BIT」(情報通信機器)と表示されている。機械、設備、装置、機器で類似(同等)の国産品がないと判断される場合、当該制度の暫定特別措置としてこれらに課税される関税率が低減される。

この恩典を供与するため、対象製品が政府の政策に沿っているか、資本財や情報通信関連機器の輸入を必要とする投資プロジェクトにメリットがあるか、など多方面の審査があり、開発商工省(MDIC)で本制度を管轄する生産開発局(SDP)の局長、CAMEX、経済社会開発銀行(ENDES)の代表者によって構成される委員会で審査分析される。

今回の決議66号では、その申請方法と申請書における記載項目が変更された。

申請書類の提出は、以前は申請書と必要書類をPDF形式でSDPのメールアドレス宛てに送付していたが、今後は、初めに必要書類をCD−ROMあるいはPEN−DRIVEに保存したものを2部作成し、ブラジリアのSDPへ直接郵送する。その後、受理番号を受け取り、当該受理番号を明記して、SDP宛てに再度必要書類をPDF形式でメール送付する。

○郵送する書類で変更されたもの
(1)決議66号で定められた申請書2部(署名入り)
(2)申請対象製品のオリジナルカタログ、対象製品の稼働に関する説明書、技術の仕様に関する文書、図面、レイアウト、写真など(言語は全てポルトガル語)を添付する
(3)国産品の無存在証明書があれば添付(義務ではない)。例えば、ブラジル機械装置工業会(ABIMAQ)が発効する国産無存在証明書(Certificado de Inexistencia)など

○申請書の記載項目で追加された箇所
(1)「会社概要」欄にCNAE(全国経済活動分類コード、ブラジル地理統計院が規定するブラジルの業種分類)、本申請によりもたらされる輸出増減額をドルベースで記載
(2)法定代理人となり得る会社の情報〔企業名、CPF(ブラジル納税者番号)、メールアドレス、住所、電話およびファクス番号〕を記載
(3)輸入元企業との資本関係の有無。ある場合は両者の関係を、「親会社・子会社」「ホールディングカンパニー」「ジョイントベンチャー」などから選択
(4)本プロジェクト実施(本申請)に当たって融資を受けた場合は、その資金調達先、および調達方法(銀行からの調達金額、民間企業から調達金額)

さらに申請の添付書類として、申請対象製品の仕様、カタログ、レイアウト、写真、稼働説明書などがMDICウェブサイトに掲載されるため(掲載日から30日の間に国内メーカーから異議申し立てがなければ「国産品なし」と認定される)、万が一秘密事項が漏れても申請者自身の責任とすることについての署名が要求されている。

当地企業によると、これまでも申請から承認までに4ヵ月以上かかっていたが、今後は承認までにさらに時間を要することになるのではないかと懸念する声が上がっている。

(辻本希世)

(ブラジル)

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