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雇用ビザの取得と更新の所要期間は通常で2〜3ヵ月−アジア主要国の就労許可・査証制度比較(6)−

(フィリピン)

マニラ事務所

2014年09月16日

フィリピンにおける査証には、一時入国ビザ、通商航海条約などに基づく貿易取引業者・投資家ビザ、外交官・政府機関職員ビザ、雇用ビザ、経済区庁(PEZA)ビザなどがある。日系企業の就労者は、これらのうち、雇用ビザやPEZAビザを取得することが多い。この場合、まず30日間の滞在が可能な無査証で入国するか、59日間滞在が可能な一時入国ビザで入国する。そして、それらの滞在期間の延長申請を繰り返しながら、フィリピン国内で査証を申請、取得するというのが一般的だ。雇用ビザの場合、取得までに要する期間と、毎年の更新に要する期間がそれぞれ約2〜3ヵ月となっており、企業の中には不満の声も出ている。

<日系企業の多くは雇用ビザやPEZAビザ>
フィリピンでの就労に関わるビザには、一時入国ビザ(9a)、通商航海条約などに基づく貿易取引業者・投資家ビザ(9d)、外交官・政府機関職員ビザ(9e)、雇用ビザ(9g)、PEZAビザ〔47(A)2〕、などがある(表参照)。これら、9、47などの数字は、1940年フィリピン出入国管理法(The Philippine Immigration Act of 1940, Commonwealth Act No. 613)の第9条、第47条などの条文番号を示している。これらのうち、日系企業では9gビザや47(A)2ビザを取得するケースが多い。

フィリピンの就労に関する査証の種類

日本からフィリピンに入国する際には、30日間滞在が可能な無査証で入国する場合(これを通称「観光ビザ」と呼ぶことがある)と、あらかじめ一時入国ビザである9aビザを取得してから入国する場合の2種類がある。

30日間の無査証短期滞在は、フィリピン国内において延長申請が可能で、初回は29日間、その後は59日間ごとの延長が可能。最大2年までの延長が可能なこともある。一方、9aビザについては、最初から59日間の滞在が可能で、その後原則1年までの延長が可能だ。フィリピンで就労に関する査証を取得する場合、取得までにこれら30日間または59日間を超える場合は、滞在期間の延長を繰り返しながら、査証手続きを進めることになる。

<就労には外国人雇用許可証の取得が必要>
フィリピンにおける就労までの手続きの流れとしては、(1)外国人雇用許可証(AEP:Alien Employment Permit)、(2)就労に関する査証〔9g、47(A)2など〕、(3)外国人登録証(ACR I−card:Alien Certificate of Registration Identity Card)の順で取得する。AEPの手続き中にフィリピン国外に出国することは可能だ。査証の手続き中に、フィリピン外に出国する場合には、帰国後に再査定の手続きが必要となる。ACR I−Cardは、59日間を超えて滞在する登録外国人に発行されるIDカードで、情報が入ったマイクロチップが埋め込まれる。このACR I−Card取得手続き中にはフィリピン国外に出ることができないため、注意が必要だ。

AEPは、労働雇用省(DOLE)が、外国人がフィリピンで就労することを認めたことを証明するもので、6ヵ月以上就労する場合には、取得が義務付けられている。ただし、フィリピン政府が認める外交官、外交政府職員、国際機関職員などは取得が免除されている。

AEPを取得するためには、以下の書類を労働雇用省の窓口に提出する。

○必要事項を記載した申請書
○パスポートの写し
○雇用契約書
○地方政府の営業許可書(経済特区入居企業の場合は当該経済特区への入居を証明する書類)
○AEPを更新する場合には現行のAEPの写し

有効期限は発行から1年間、発行手数料は8,000ペソ(約1万9,200円、1ペソ=約2.4円)で毎年の更新ごとに3,000ペソかかる。

勤務開始から15日以内にAEPの申請手続きをしない場合、会社および個人にそれぞれ1万ペソの罰金が科される。

<雇用ビザはフィリピン人では代替できない業務が対象>
雇用ビザである9gビザは、あらかじめ雇用契約のある外国人、同伴または本人の査証認可の日から6ヵ月以内に入国する配偶者および21歳未満の未婚の子供に対し発行する査証だ。出入国管理法第20条の規定により、この査証が受けられるのは、フィリピン人では代替することができない業務を遂行する外国人で、当該外国人が求められる業務やサービスに対し適格であり、かつそれが公共の利益に資するということが条件となっている。手続きは以下のとおり。

(1)入国管理局本庁ビル1階の広報支援室(PIAU)またはウェブサイトから、統合一般申請フォーム(CGAF)を入手する。
(2)事前処理のため、申請書類を受け取りセンター(CRU)その他、申請手続きの可能な入国管理局の受付窓口に提出する。
(3)申請手数料を支払う。
(4)オフィシャルレシートを提出する。
(5)面接
(6)外国人登録課(ARD)において写真撮影および指紋の採取、またACR I−Card申請のための書類を提出する。
(7)ビザの認可がなされたかどうかをウェブサイト上で確認する。
(8)認可がなされた場合、ビザスタンプの押印のため、パスポートのオリジナルを提出する。
(9)ACR I−Cardが発行されたら、受け取り請求を行う。

<PEZA認定の日系企業は約870社>
フィリピンに進出する日系企業の多くが、PEZAの認定を受けて進出する(2014年3月31日時点で約870社)。PEZA認定は、売り上げの7割が輸出でなければならないなどの条件があるが、法人所得税の4〜8年間の免税、関税、付加価値税の免税などの恩典を与えるもので、日系企業がフィリピンに進出する大きなメリットとなっている。

就労がPEZA認定企業である場合には、いわゆるPEZAビザといわれる47(A)2ビザを取得する。この査証を取得するためには、以下の申請書類(それぞれの書類の原本1部および写し3部が必要)をPEZAの企業役務担当官に提出する。

○47(A)2ビザの延長または査証の種類の変更のためのフィリピン法務省(DOJ)のチェックリスト
○PEZA申請の会社レター
○法務省フォーマットの申請用紙
○PEZA登録証明書の写し
○申請者のパスポートの写し(氏名の記載のあるページ、最後に入国した日付が記載されたページおよび査証のページ)
○法務省の初回の承認書(査証延長の場合に限る)
○秘書官証明書、雇用証明書または役務契約書
○申請者の履歴書

このほか、扶養同伴家族がある場合には、扶養同伴家族のパスポートの写し(氏名の記載のあるページ、最後に入国した日付が記載されたページおよび査証のページ)、扶養宣誓供述書および結婚証明書(英文または大使館もしくは総領事館が認証する翻訳証明付きの英語翻訳を付したもの)が必要となる。

なお、1995年経済特区法第40条の規定により、労働雇用相の明示的な認可がない限り、PEZA区域における外国人の雇用は全体の5%を超えてはならないとしている。これは、日本人従業員1人に対し20人のフィリピン人を雇用しなければならないことを示す。ただし、この規定は役員については除外される。

<雇用ビザの取得・更新手続きの長さに企業から不満>
ウェブサイトの情報などでは、9gビザの申請から発行までに要する期間は1〜2ヵ月と記載のある場合が多い。しかし、実際にジェトロが複数社にヒアリングしたところでは、通常2〜3ヵ月かかり、中には取得までに1年要したというケースもあった。以前に比べて取得までの期間が長くなっているという声もあり、企業の不満の声が徐々に高まってきている。

(石川雅啓)

(フィリピン)

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