企業情報の「年度報告制度」を導入−国務院、企業情報公開暫定条例を公布−
北京事務所
2014年09月11日
中国政府は企業情報の公開を進めるため、年度検査制度に替えて年度報告制度を導入する。その実施の際の基本法規に当たる「企業情報公開暫定条例」が10月1日から施行される。
<企業信用情報公開システムを通じて公開>
国務院は2014年8月23日に企業情報の公開を進めるため「企業情報公開暫定条例」(国務院令第654号)を公表し、10月1日から実施するとした。2013年10月25日に国務院常務会議が開催され、年度検査制度に替えて年度報告制度を導入し、企業情報の公開を図る方針が示された(2013年11月29日記事参照)。その後、2014年2月に「登録資本登記制度改革方案」や「国家工商行政管理総局の企業年度検査業務を停止することに関する通知」が公布され環境整備が進められていたが、この度、実施に当たっての基本法規が示されたことになる。
「条例」によると、工商行政管理部門は企業信用情報公開システムを通じて、(1)登録登記・届け出、(2)動産抵当登記、(3)持ち分出資登記、(4)行政処罰、(5)その他についての企業情報を公開するとしている。それぞれの状況を発生日から20営業日内に公開する必要がある。また、工商行政管理部門以外のその他の政府部門は、企業信用情報公開システムまたはその他のシステムを通じて、行政許可の付与・変更・延長、行政処罰、その他の情報を公開する必要があるとしている。
企業に対しては、毎年1月1日から6月30日までの間に、企業信用情報公開システムを通じて、工商行政管理部門に対して、前年の年度報告を送付することを求めた。
年度報告には、a.住所、郵便番号、電話、Eメールアドレスなど、b.開業、休業、清算など存続状況、c.企業への投資、株式買収状況、d.出資額、出資時期、出資方式など、e.株式変更情報、f.企業ウェブサイト、オンラインショップの名称・URLなど、g.従業員数、資産総額、負債総額、対外提供担保、所有者権益合計、営業総収入、主要業務収入、利益総額、純利益、納税総額、の内容を含むとした。
上記のa〜fの情報は公開するとした。gについては企業が公開するかどうかを選択できる。企業が同意すれば、国民、法人やその他組織が、非公開を選択した情報を問い合わせできるとしている。
<隠蔽や虚偽は公開>
企業はこれまで年度検査に当たり、商務部門、工商行政管理部門などに対して毎年3月1日から6月30日までの期間に多くの書類を提出する必要があり、その対応に負担を感じる声も聞かれていた。今回の制度変更によってその負担は減るとみられるものの、新たな制度に対して適切に対応していく必要がある。新制度では、隠蔽(いんぺい)や虚偽があった場合などには「経営異常名簿」に記載され、企業信用情報公開システムにより公開されるなどとされており、会社の社会的信用にも影響を及ぼすこととなる。今後は実施に向けて、関連部門から規定が公布されるとみられる。
「条例」の詳細については国務院ウェブサイトから閲覧できる。
(宗金建志)
(中国)
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