農業参入で成功する秘訣はパートナー選び−ベトナム投資促進セミナー(農業関連)(2)−
アジア大洋州課
2014年09月09日
ベトナムでは中部高原やメコンデルタ地域に日本の農業が参入する余地が多く残されている。日本の技術を導入した農家では、伝統農家より販売価格が3〜5倍高くなるケースもあるという。ベトナムに進出している日系企業の中には、無農薬野菜を生産し、現地の日本人駐在員向けに販売している事例もある。成功の秘訣(ひけつ)はパートナー選びで、ベトナム人と共栄するビジネスモデルを確立することが重要だとの指摘もあった。ベトナム投資促進セミナー(農業関連)の後編。
<日本の技術導入で販売価格が3〜5倍に>
セミナーの後半部では、三菱東京UFJ銀行の松山安男ベトナム総支配人が「ベトナムにおけるアグリビジネスの可能性」について説明した。同氏は「コメ、コーヒー、カシューナッツ、コショウなど生産量は多いが、各国の市況に強く影響を受ける。また、年間平均気温が18〜25度のラムドン省(中部高原)や南部のメコンデルタ地域に注目している。ラムドン省は気温に恵まれていて、22万ヘクタールの開発余地もある。日本の技術を導入した農家では販売価格が伝統農家の3〜5倍も高くなる」と農業分野のビジネスチャンスを説明した。
<採れたて無農薬野菜の生産・販売で成功>
ベトナムの農業分野で成功を収めるNICONICOYASAI (ニコニコヤサイ)パートナーの西居豊・五穀豊穣代表は「日本人の駐在員や家族向けを中心に60品目の無農薬野菜を提供している。価格帯は14万〜18万ドン(約680〜880円、1ドン=約0.0049円)。オンラインショップでも購入できる。午後5時までに受注すれば、採れたて野菜をダクラック省発の夜行バスに乗せ、翌日にはホーチミン市内の各家庭に配達することが可能」と、新鮮な野菜を提供できる仕組みを説明。現在ではファミリマートを中心に15店舗にも無農薬野菜を卸している。また、2014年5月に越中関係が緊迫化してからは、中国産の農産品を避けるベトナム人から受注が増加したという。同氏は「ベトナムで農業参入する際に、最も重要なのはパートナー選び。日本食レストランなど飲食関係では、ベトナム人にだまされるケースが見受けられる。金もうけだけが目的になってはベトナム人の理解を得られない。ベトナムに対して尊敬の念を持つことが大切。ベトナムの皆さんに技術を伝え、どうやって共に繁栄するかを考える必要があるだろう」と成功の秘訣を語った。
<イオンの商品調達基準を解説>
イオン商品調達の渡辺能敬管理本部長は「海外食品の安心・安全の取り組み」と題し、イオンが商品を調達する際の基準を説明した。それによると、イオンは(1)世界食品安全イニシアチブ(GFSI)、(2)グローバルギャップ監査、(3)イオンサプライヤー取引行動規範(CoC)を調達基準として導入している。(1)では、a.食品の安全性に関するリスクを軽減するために、従来の食品安全マネジメント・スキーム間の収束と等価性を図ること、b.業務の重複を軽減し、効率化することで、食品システム全体のコスト効率を高めること、c.一貫した食品管理システムを築くため、食品安全の遂行能力を高めること、d.ステークホルダー(利害関係者)に対して、コラボレーション、知識共有とネットワークづくりができる国際的な場を提供することを順守する必要がある。また、(2)では、トレーサビリティー(追跡可能性)、圃場(ほじょう)履歴・管理、土壌管理、灌漑用水、環境と環境保護、労働者の健康・安全・福祉を徹底する必要がある。さらに、(3)では、法令順守として、児童労働、強制労働、安全衛生および健康、結社の自由および団体交渉の権利、差別、懲罰、労働時間、賃金および福利厚生、経営者責任、環境、商取引、認証・監査・監視(モニタリング)、贈答禁止で違反がないことを義務付けていることなどを解説した。イオンベトナムは2014年1月の1号店(ホーチミン)を手始めに、今後は南部ビンズオン省やハノイ市にオープンする予定だという。
<中古機械の輸入には柔軟に対応>
パネルディスカッションはセミナー休憩中に寄せられた質問に対する回答形式で行われた。
問:中古機械の輸入規制(第20/2014/TT−BKHCN号)の状況は。
答:(チュン副大臣)
前提として次の2点をお伝えする。(1)政府は持続可能な発展と環境保全を重視している。悪影響を与える技術は認めることはできない。(2)エネルギーを過剰に使用する必要がある技術は認めることはできない。その上で、今回の中古機械の輸入規制は、日本の中小企業にも影響を与えることは理解している。中古機械の輸入に関しては柔軟な対応が必要になるだろう。しかし、どのようなレベル、性能、仕様にするのがよいのかが重要になる。日本企業の機械は内製化しているものもある。客観的な判断で輸入することが必要になるだろう。また、期間も重要になるだろう。例えば、2016年に全面禁止にするとしたら、企業も事前に損益計算をすることができる。こうした考えを踏まえ検討したい。
計画投資省として、オフィシャルレターを科学技術省や管轄省庁に対して送るつもりでいる。ベトナムと在ベトナム外国企業の利益の双方を守る必要がある。科学技術省に対して検討を促すが、変わることがなければ首相にも話を上げるつもりでいる。企業の皆さんに迷惑がかからないように尽くしたい。
問:ベトナムで生産される果実の種類は。
答:(チュン副大臣および農業農村開発省の担当者)
ベトナムでは豊富な種類の果実が生産されている。ドラゴンフルーツ、マンゴー、バナナ、ココナツ、かんきつ類など。日本にはドラゴンフルーツを輸出している。ベトナムは熱帯果実が中心なので、日本で生産される果実とは異なり、補完的な関係といえる。
(大久保文博)
(ベトナム)
チュン副大臣、農業の近代化で日本企業に大きな期待−ベトナム投資促進セミナー(農業関連)(1)−
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