エボラ出血熱流行3ヵ国からの入国を禁止、自国民は除く
ヨハネスブルク事務所
2014年09月04日
西アフリカを中心にしたエボラ出血熱の感染拡大を受け、南アフリカ共和国政府は8月20日の閣議で、自国民を除いてギニア、リベリア、シエラレオネの流行国3ヵ国からの入国を禁止する措置を決定、翌21日にアーロン・モツォアレンディ保健相が措置の内容を発表した。
<自国民にも渡航延期を勧告>
世界保健機関(WHO)によると、エボラ出血熱の流行は8月28日現在、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリアの4ヵ国で感染者が3,000人超、死亡者は1,550人超となっている。
感染の拡大を受け、南ア政府も対応策を公表した。8月20日に、自国民を除いてギニア、リベリア、シエラレオネの流行国3ヵ国からの入国を禁止する措置を閣議決定し、翌21日にモツォアレンディ保健相が以下のような措置の内容を発表した。
南ア政府は、エボラ出血熱の流行は西アフリカの一部に限られているとの認識に基づき、必要最小限の措置を講ずることとしている。具体的には、次のとおりエボラ出血熱の流行度に応じて高リスク国、中リスク国、低リスク国の3つに分類し、対応することになる。
(1)高リスク国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)
南ア国民を除く全ての外国人は、上記3ヵ国から南アへの渡航は真にやむを得ない場合を除いて全面禁止とする。また、南ア国民であっても、3ヵ国への渡航が絶対に必要なものでない限りは渡航を延期するよう勧告する。なお、3ヵ国から帰国する場合には、入国前に詳細な健康チェックシートに記入し、同シートや体温チェックで、エボラ出血熱に関する何らかの疑いが認められた場合は精密検査を受ける。
(2)中リスク国(ナイジェリア、ケニア、エチオピア)
ケニアとエチオピアは現時点でエボラ出血熱は発生していないものの、西アフリカから南アに渡航してくる人々の大半がこれらの国々を経由するため、このカテゴリーに分類される。これまで実施されてきた通常の監視を強化するかたちで対応する。
(3)低リスク国(上記以外の全ての国)
対応策は中リスク国と同様。
今回の閣議では、南アが南部アフリカ医療の中心的な立場として、優れた医療施設や臨床医を集め、感染拡大に備えるという南部アフリカ開発共同体(SADC)の決定を受け入れることや、エボラ出血熱を封じ込めるために3,250万ランド(約3億1,850万円、1ランド=約9.8円)の基金を設立することなどを決定した。
<南アフリカ航空も検査を強化>
エボラ出血熱の感染拡大を受けて、南アフリカ航空も8月27日、空港に体温検査器を設置して感染の疑いのある乗客のチェックを行ったり、感染防止のために機内消毒も行ったりすると発表した。同航空インド支社長のサジッド・カーン氏は「南アは感染国と国境を接していないので、エボラ出血熱の監視を強化すれば、インドや欧州などの国々と同じように安全な国としてみてもらえるだろう」と、空港における監視を強めることでエボラ出血熱感染の脅威を和らげられるとの認識を示した。
(川上康祐)
(南アフリカ共和国・アフリカ)
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