リトアニアの2015年からのユーロ導入が決定−ユーロ圏は19ヵ国に拡大−

(ユーロ圏、リトアニア、EU)

ブリュッセル事務所

2014年07月25日

EU一般問題理事会は7月23日、リトアニアの2015年1月からのユーロ導入を正式に承認した。リトアニアは2015年からのユーロ紙幣・硬貨の流通に向けて、切り替え準備を急ぐとともに、ユーロ圏との経済的、政治的関係を一層強固なものにする。

<1ユーロ=3.45280リタスに設定>
EU一般問題理事会は7月23日、リトアニアの2015年1月からのユーロ導入を承認する決定を採択した。同決定は、ユーロ圏をバルト3国を含めた19ヵ国に拡大するとともに、リトアニアに5ヵ月強の通貨切り替え準備期間を提供するもの。

同理事会はまた、リトアニアの現通貨リタスをユーロに交換する為替レートを設定し、特定の技術的な条項を適用する規則も採択した。リトアニアが参加する欧州為替メカニズムIIの現行の中央レートに相当する1ユーロ=3.45280リタスに設定した。リトアニアでのユーロ紙幣・硬貨の流通は2015年1月から始まることになる。

EU議長国で、一般問題理事会の議長を務めるイタリアのサンドロ・ゴジ欧州問題担当次官は「リトアニアのユーロ・ファミリーへの参加は同国にとって重要なだけではなく、ユーロ圏全体にとってとても重要だ」と述べるとともに、「単一通貨プロジェクトが引き続き魅力的であり、われわれのコミュニティーの将来の妥当性を証明するものだ」と強調した。

ユーロ圏諸国は2014年6月20日のEU経済・財務相理事会で、リトアニアの2015年1月からのユーロ導入を承認する欧州委員会の勧告を既に採択していた(2014年6月27日記事参照)

その後、欧州中央銀行(ECB)が2014年7月14日にリトアニアのユーロ導入に好意的な意見を表明し、欧州議会が同16日にリトアニアのユーロ導入を承認した。今回のEU理事会での承認を経て、2015年1月からのユーロ導入が正式に決定された。

なお、欧州委とECBは非ユーロ圏諸国のユーロ導入準備状況を審査する報告書を2年ごとに作成しており、2014年6月4日の最新報告書で、リトアニアの法制がEU条約の条項や欧州の中央銀行の法規に整合していることが確認されていた。また、ユーロ導入のための5つの基準も全て満たしていることが確認された(2014年6月27日記事参照)

リトアニアのブトケビチュス首相は「ユーロ導入は、国家の経済成長を促進するために、経済的、政治的によく考え抜かれたリトアニアの戦略的ステップだ」と述べている。ウクライナ問題で欧米とロシアとの緊張が高まる中、リトアニアにとって、エネルギー確保や安全保障の面でもユーロ導入は必然的な選択だったといえる。

(田中晋)

(EU・ユーロ圏・リトアニア)

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