上海自由貿易試験区、医薬特殊材料の検疫検査を緩和

(中国)

上海事務所

2014年07月22日

政府は微生物や人体組織など全ての医薬品開発用特殊材料の輸出入に対して全数検査を実施しているが、中国(上海)自由貿易試験区内の一定の資格を持つ企業に対してはこれを緩和し、企業の信用度と医薬特殊材料の危険度に基づいて抜き取り検査で済ますことで、輸出入の手続きにかかる時間を短縮する。

<全数検査から抜き取り検査に>
上海出入境検験検疫局は7月14日、「上海検験検疫局中国(上海)自由貿易試験区入出境特殊物品衛生検疫管理規定(試行)」(以下、「試験区検査検疫規定」)を発表し、同試験区では医薬特殊材料(中国語「出入境特殊物品」)に対する新しい検疫検査制度が発足した。

政府は「出入境特殊物品衛生検疫管理規定」に基づき、微生物、人体組織、バイオ製品、ヒトの血液・ヒトの血液を使用した製品など、全ての医薬特殊材料の輸出入品に対し、検疫検査を実施している。

しかし、今回の「試験区検査検疫規定」によって、上海自由貿易試験区内の一定の資格を持つ企業に対しては、医薬品開発用特殊材料輸出入に対する検疫検査は大幅に緩和される。具体的な措置は以下のとおり。

(1)1年以上の医薬特殊材料の輸出入実績を持つ試験区内企業は、医薬特殊材料企業(中国語「出入境特殊物品単位」)としての資格を申請できる。この資格を持つ企業に対し「試験区検査検疫規定」を適用し、資格のない企業に対しては引き続き全国で通用している制度を適用する。

(2)医薬特殊材料企業に対しA、B、C、Dという4段階の信用格付け、医薬特殊材料に対し1、2、3、4という4段階の危険度の格付けを行い、企業信用が高いほど、輸出入する医薬特殊材料の危険度が低いほど、検査検疫を緩和する。

(3)医薬特殊材料企業は毎年、上海出入境検験検疫局に1年間に輸出入する予定の医薬特殊材料の資料を提供し、同局は輸出入時の検疫検査を簡素化するために、提供された資料に基づいて予備審査を行う。ただし、医薬特殊材料企業が予備審査を行わなかった新しい品目の医薬特殊材料を輸出入する場合には、あらためて予備審査を申請しなければならない。

(4)輸出入時の全数検疫検査を抜き取り検査に変更する。抜き取り検査のサンプル数は企業の信用格付けと医薬特殊材料の危険度の格付けによって異なる。

(5)医薬特殊材料企業で、専用の検疫検査場所とビデオ撮影設備を備え、箱開けの場面、貨物と証明書類が一致することを確認する場面のビデオ撮影ができ、検疫検査の専門担当者を設けたところは、自社の検疫検査場所で自ら検疫検査を行う資格を申請できる。

<医薬特殊材料の貿易量は急拡大>
上海出入境検験検疫局の統計によると、上海市の医薬特殊材料の貿易量は毎年約20%の伸び率で拡大しており、2013年の貿易額は6億3,900万ドル、2014年上半期は4億5,000万ドルに上る。新制度の実施により、輸出入の手続きにかかる時間が短縮し、医薬品産業の発展に寄与することが期待されている。

(文涛)

(中国)

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