東南アジア知財ネットワークに3つのWG発足

(ASEAN、タイ)

バンコク事務所

2014年06月20日

在東南アジア日系企業を構成員とする東南アジア知財ネットワーク(SEAIPJ)が2014年度から、タイ、インドネシア、ベトナムの3つのワーキンググループ(WG)を発足させた。各国で行われたWG会合では、今後の活動予定などについて積極的な意見交換が行われた。調査やロビー活動など、より活発な行動が期待される。

<日系企業が共通の知財制度を目指す>
SEAIPJは、東南アジア地域における横断的な日系企業の知的財産活動を支援する場として、2012年3月1日に発足した。2015年の経済統合を目指しているASEANでは、日本企業にとっては、知財の分野においてもASEAN共通のルールの制定、特許や商標などの知的財産権の迅速な権利化、模倣品・海賊版の効果的な取り締まりなどが望まれる。この東南アジア知財ネットワークは、ASEAN域内での共通制度あるいは各国協調の知財制度の確立を目指してスタートした。

発足から2年を経た2014年3月5日に行われた2013年度総会でWGが提案され、3つのWGが発足することになった。在タイ日系企業が中心のタイWG、在シンガポール日系企業が中心のインドネシアWG、日本側が中心のベトナムWGだ。各WGは、2013年度にSEAIPJ内で行ったアンケート結果を精査し、それを踏まえた課題の特定を行うとともに、課題に対する調査、メンバー間における事例の共有、ロビー活動を実施する。

<ASEANへのロビー活動などで意見交換>
5月7日には、タイWGの第1回会合がジェトロ・バンコク事務所で開催された。会合では、アンケート結果に基づいて課題の整理などを行うとともに、11月に行われるASEAN知的財産協力作業部会(AWGIPC)へ向けたロビー活動を含む今後の活動予定などについて、活発な意見交換が行われた。5月15日には、ベトナムWGに関する会合が東京のジェトロ本部で開催された。本会合にはオブザーバーを含めて30人以上が出席し、メンバーの募集やリーダーの選出など、ベトナムWGの今後の活動方針に関わる積極的な意見交換が行われた。インドネシアWGでも、5月29日にジェトロ・シンガポール事務所で第1回会合が開催され、WGメンバーの再募集、活動の方向性などについて意見交換した。

SEAIPJ幹事でAsian Hondaの山崎克俊氏は3つのWGの発足について、「ASEAN地域に駐在する日系企業の知財担当者の数や経験はまだまだ少なく分からないことが多い上に、政治・経済の動きも活発だ。現地に出ている人たちが、注目度の高い国や地域の知財課題をそれぞれ手分けして検討を深めることが、SEAIPJのこれからにつながると信じている」と述べた。

(大熊靖夫、澤井容子/アジア知的財産担当)

(タイ・ASEAN)

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