企業内転勤ビザの有効期間が2年から4年に延長−改正入管法を施行−

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク事務所

2014年06月19日

南アフリカ共和国の内務省は、改正入管法を5月26日に施行した。ビザ申請方法や有効期限の変更のほか、子供を帯同して入国する際の書類提示義務などが定められており、外国人にとって大きな影響が出るものと思われる。

<運用方針が不明確なので要注意>
内務省は、改正入管法(注1)を5月22日に官報に掲載し、26日に施行した。ギガバ内相は改正入管法に関し、治安維持のために数十億ランド規模の新たなシステム導入が必要だと強調した。

今回の改正入管法における主なポイントは以下のとおり。

(1)ビザの申請窓口が、内務省から「VISA Facilitation Service(VFS)」と呼ばれるビザ申請の代行機関に変更になり、VFSが内務省に申請を転送することとなった。なお、VFSは6月2日から順次開設される予定で、ヨハネスブルクには6月18日設置(プレトリアは6月2日、ダーバンは6月9日、ケープタウンは6月20日)。政府によると、VFSは世界110ヵ国に設置される予定。
(2)VFSへのビザ申請は、申請者本人が出頭して手続きを行う必要がある。申請に当たっては、VFSに代行費用1,350ランド(約1万2,690円、1ランド=約9.5円)を支払う必要がある。
(3)ビザの有効期限が切れた不法滞在者は、不法滞在期間に応じて南アへの再入国が一定期間制限される。不法滞在期間が30日以内の場合には2年間、31日以上90日以内は3年間、91日以上は10年間再入国が禁止される。
(4)企業内転勤ビザは、有効期限が従来の最長2年から最長4年へと変更になった。
(5)観光ビザで南アに入国した者が、南ア国内で長期滞在ビザを申請することはできなくなった。
(6)留学ビザは毎年更新が必要だったが、教育機関(School)の場合は最大24ヵ月、その他機関の場合は36ヵ月まで有効期限が延長された。
(7)ビザ保有者は住所を変更した際、14日以内に内務省への通知が必要となった。
(8)18歳未満の子供を伴って外国に旅行する場合(注2)には、出入国時に子供の出生証明書などの書類の提示義務が課せられることになった。

今回の改正入管法は内務省内での運用方針が明確になる前に施行されたこともあり、南アへの再入国時にトラブルが発生している。また、国内の弁護士たちは、同法の内容は不完全なもの、今回改正されたビザの申請要件の中には厳し過ぎるものがあると述べており、今後、同法を違憲として裁判所に訴えるとしている。

このような事例にもあるとおり、改正入管法はその運用方針が現場まで周知されていないように見受けられる。従って、今後のビザ申請に当たっては、内務省や在南ア日本大使館、在日本南ア大使館に確認の上、最新情報に注意を払う必要がある。

(注1)The Immigration Amendment Act, 2002。なお、改正年は2007年、2011年。
(注2)南ア人、南ア在住の外国人、旅行など短期間の渡航者に適用される。

(川上康祐)

(南アフリカ共和国)

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