対EU輸出食肉取り扱い施設に2ヵ所認定、牛肉の輸出が可能に

(日本、EU)

ブリュッセル事務所

2014年06月06日

欧州委員会は5月28日、群馬県と鹿児島県の食肉処理・加工施設をEU向け輸出食肉取り扱い施設として正式に認定した。認定を受けたのは、群馬県玉村町の群馬県食肉卸売市場と、鹿児島県阿久根市の阿久根食肉流通センターで、群馬県の施設は6月8日から、鹿児島県の施設は6月10日から、EUへ日本産牛肉の輸出が可能となる。

<欧州委が群馬、鹿児島2県の食肉処理・加工施設を認定>
欧州委がEU向け輸出食肉取り扱い施設として認定した群馬県食肉卸売市場と鹿児島県の阿久根食肉流通センター(スターゼンミートプロセッサー阿久根工場)は、それぞれ「と畜」「部分肉加工」「冷温保存」について認定を受け、輸出対象品目は内臓を除く牛肉となっている。欧州委によると、今回の認定は、群馬県の施設が6月8日から、鹿児島の施設が6月10日から施行されるため、EU時間の施行日以降に発行された衛生証明書を添付すればEUへの日本産牛肉の輸出が可能となる。

EU加盟国は2013年2月6日、食品連鎖・動物衛生常設委員会(SCoFCAH)会合で、これまで認めていなかった日本産牛肉の輸入を承認し(2013年2月8日記事参照)、2013年3月8日に欧州委実施規則196/2013が官報に掲載された。これを受け、牛肉をEUへ輸出することができる第三国リストに日本が追記され、2013年3月28日以降に食肉処理された日本産牛肉の輸出が解禁された。しかし、国内のEU向け輸出食肉取り扱い施設がなかったため、これまで正式に輸出はできなかった。

<施設認定には通常35〜40日間が必要>
施設認定を取得するためには、日本の厚生労働省が欧州議会・理事会規則853/2004を基に定めた「対EU輸出食肉の取扱要綱」に基づき、当該施設が、施設・設備、食肉解体と分割の方法、施設の衛生管理、食肉検査体制などの要件を満たさなくてはならない。厚生労働省が同要綱で定める要件を満たしていると認定した場合は、欧州委の保健・消費者保護総局(SANCO)に通知する。

欧州委によると、第三国政府から通知を受けて正式に認定されるまで通常35〜40日間かかるという。欧州委は、日本政府から通知を受けた後、通知の内容の確認を行う(所要期間2〜3日間)。その後、欧州委はEU加盟国政府に通知内容を提供し、反対意見がないかを確認する(20日間)。加盟国から反論がなければ、第三国の食肉取り扱い施設の認定リストに正式に追加される(10日間)。

今回認定された群馬県の施設は、4月15日に認定申請がEUで受領され、5月27日に正式認定を受けた。また鹿児島県の施設は、4月18日に申請がEUに受領され、5月29日に正式認定を受けている。

<「上州和牛」と「鹿児島和牛」が欧州に>
今回認定を受けた群馬県食肉卸売市場からは、輸出業者のJA全農ミートフーズを介して「上州和牛」がEUに輸出される。6月の輸出計画では、まずは英国とオランダ向けに各国6頭分(およそ240キロ)のロースとヒレ肉の輸出が見込まれている。

鹿児島県の阿久根食肉流通センターからは、輸出業者のスターゼンミートプロセッサーを通じて「鹿児島和牛」を輸出する。6月中旬には、EU向けに第1便が出荷される見通しとなっている。

欧州主要国の食肉卸事業者は既に日本産牛肉に関心を示しており、今後の市場拡大が期待される。一方、欧州の人々の味覚に合う調理方法の開拓やコストの問題などが課題となっている。

(小林華鶴)

(EU・日本)

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