投資申請はワンストップセンターで30日以内に審査−整備進む経済特区(1)−

(ミャンマー)

ヤンゴン事務所

2014年04月09日

ティラワ経済特区(SEZ)のセッアウン管理委員長は3月、ジェトロ主催の投資ミッション団に対し、「ミャンマーのSEZは東南アジアでナンバーワンとなる」とアピールした。1月に成立した新経済特区法の下で、政府が最も力を入れているのが、SEZへの進出を円滑に促すワンストップサービスの実現だ。今後、同法の細則が発表され、具体的な投資手続きや参入可能業種の詳細などが明らかになる予定だ。同法ならびにティラワをはじめとするSEZの開発状況について3回に分けて報告する。

<さらなる外資誘致に向け法改正>
新経済特区法が1月23日に成立した。ミャンマーでは2011年1月に経済特区法が制定されていたが、2012年11月の新外国投資法制定によって外国投資の優遇措置が強化され、経済特区法の優遇措置のメリットが薄れたことや、ミャンマーが世界中の投資家の関心を集める中で、投資誘致に結び付けるための具体的で明確な法律としておきたいとの考えがあったものと思われる。

新経済特区法制定の国会審議では、SEZの指定手続きに関し、当初案では政府判断で行えるとしていたものが、連邦議会で「連邦議会の承認が必要」と修正された。大統領が国会可決案を突き返す一幕もあったものの、最終的に連邦議会可決案どおりに成立した。SEZの指定については連邦議会承認が不可避となったことで、政府が当初描いていた機動的な認定手続きは難しくなった。

2011年1月の経済特区法制定時には、併せて南部沿岸のダウェーをSEZとして指定する法律が制定されたが、新経済特区法の成立によっていずれも廃止された。

今後、新経済特区法の細則が発表され、具体的な投資手続きや参入可能業種の詳細などが明らかにされる予定だ。

<法律に30日以内の審査を明記>
政府がSEZ設立の過程で最も力を入れているのが、進出を円滑に促すワンストップサービスの実現だ。

ミャンマーで外国投資法に基づいて投資する場合、ミャンマー投資委員会(MIC)による投資認可を受け、併せて国家計画・経済開発省の投資企業管理局(DICA)で企業登記・営業許可を取得する必要がある。ところがこの1〜2年、各国から新規投資申請が急増しており、審査の遅滞が指摘されている。

DICAは2013年4月にヤンゴンにワンストップセンターを設置し、企業の投資申請を円滑化すべく取り組んでいるが、新外国投資法および細則の解釈に当たっては、結果的に首都ネピドーを訪ね、所管省庁担当者と面談することが必要となる場面が生じる。また、DICAでの事前承認会議、MIC会議で投資計画を説明するためにネピドー訪問が不可欠となるなど、投資希望企業からは不満の声も多く聞かれる。

しかし、新経済特区法では投資関連手続きをSEZ内で真にワンストップで実施することを目指しており、SEZへの外国企業投資が迅速に進むことが期待される。

新経済特区法下で設置される管理委員会では、投資申請が要件を備えている場合は30日以内に審査し、決定を下すことが求められる(第11条C項)。新外国投資法下の投資申請では承認まで1年がかりとなるような例もみられるが、今回、運用細則ではなく法律で「30日以内」とうたったことは、ミャンマー側の外国投資促進に向けた意欲を示すものとして評価されよう。

(高原正樹)

(ミャンマー)

外国投資法を上回る優遇措置を付与−整備進む経済特区(2)−
ティラワの開発が先行、造成工事も進展−整備進む経済特区(3)−

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