バルス内閣の顔ぶれ決定、新入閣は2人
パリ事務所
2014年04月08日
統一地方選挙での与党社会党の大敗を受けて3月31日に首相に指名されたマニュエル・バルス内閣の閣僚名簿が4月2日に発表された。閣僚ポストはエロー前内閣の20から16に減り、2007年の大統領候補だったセゴレーヌ・ロワイヤル氏およびディジョン市長のフランソワ・レブサメン氏が新入閣した以外は前内閣のメンバーで固められた。
<外相、国防相など7ポストは留任>
バルス新内閣の閣僚名簿が4月2日、発表された。社会党と連携していた欧州エコロジー・緑の党の前内閣の2閣僚は、社会党内でも最も右派といわれるバルス氏の首相任命を受けて入閣を拒否することを発表する中、エコロジー・持続可能開発・エネルギー相には、2007年の大統領選の候補者で、ここ数年国政から遠ざかっていたセゴレーヌ・ロワイヤル氏が抜てきされた。同氏は1992〜1993年に環境相を務めた経験がある。また、オランド大統領の側近でディジョン市の市長および上院の社会党グループ代表を務めるフランソワ・レブサメン氏が労働・雇用・労使対話相に任命されたほかは、外相、国防相、司法相など7つのポストが留任するなど、バルス内閣は前エロー内閣のメンバーで固められたといえる(表参照)。
<経済相に前生産再建相のモントブール氏>
今回の組閣で注目されるのが、社会・連帯経済・消費担当相から教育全般を統括する国民教育・高等教育・研究相に任命されたブノワ・アモン氏。社会党の中でも左派の代表とされるアモン氏の重要ポストへの登用は、バルス首相自身の右寄りのイメージを修正し、内閣のバランス効果を狙っているとされる。2012年から取り組まれている義務教育改革の全面的な実施に向けて、その手腕が期待される。もう1人は経済・生産再建・デジタル相のアルノー・モントブール氏だ。前内閣での国内生産回復を目指した積極的な行動と発言で閣僚の中でも最もメディアに取り上げられていた。バルス内閣では経済政策全般およびこれまでどおり生産再建政策とデジタル政策を担当することになり、労働・雇用・職業訓練・労使対話相から財務・公会計相に移ったミシェル・サパン氏と協力体制を築くこととなる。
今後、注目されるのは貿易担当相が、経済省と外務省のどちらの管轄となるかだ。もともと第5共和政下では貿易は経済省の管轄下だったが、最近は「経済外交」を唱えるファビウス外相の積極的な海外でのフランス企業支援は例外とされていた。
(渡辺智子)
(フランス)
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