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各国に幅広く残る小売業進出の障壁−アジアの卸小売りと物流への外資規制(17)−

(ASEAN)

シンガポール事務所

2014年02月06日

アジア各国では、小売業への外資規制が幅広く残っている。カンボジアやパキスタンのように外資規制がなく参入できる国もあるが、ASEAN主要国やインドなど多くの国では外資出資比率規制や最低資本金規制、一定規模以上の小売業のみ参入を認める規模規制などが適用される。また、ミャンマーやラオスなど小売業の外資参入が認められていない国もある。

<カンボジアとパキスタンでは外資規制なし>
小売業は、各国ともに外資規制が最も多く残されている分野だ(添付資料参照)。

アジア主要国の中で、小売業に対する外資規制を課していない国の1つがカンボジアで、小売業への外資100%出資が認められる。実際に外資系企業の進出も盛んで、現在、イオンが首都プノンペンに大型のショッピングモール(敷地面積:約6万8,000平方メートル)を建設しており、2014年7月に開店の予定。同モールは食品売り場に加え、家電量販店、アパレル雑貨、シネマコンプレックス、ボーリング場、レストランなど総合的なモールとなる予定だ。加えて、カンボジアは国内市場がドル化(預金の96%がドル)し、国内取引もドル取引が一般的で為替リスクが少ないこと、外為規制も緩やかであることも投資環境上の魅力になっている。同様に、パキスタンも外資100%出資が可能で、カンボジアとともにアジアの中で小売業の外資規制がない国だ。

<一定条件付きで参入を認める国が大半>
一定の条件付きで外資100%出資を認める国としては、中国、フィリピン、スリランカ、タイ、マレーシア、インドネシアが挙げられる。このうち、中国は一定店舗数以上を規制対象とし、フィリピン、スリランカ、タイは最低資本金規制の下、一定規模以上の小売業の外資参入を認めている。マレーシアとインドネシアは一定の売り場面積以上の小売業への外資参入を認める一方、コンビニエンスストアなど売り場面積の小さい小売業を外資参入禁止としている。

中国については、「外商投資商業領域管理弁法」(2004年施行)で、小売業は原則として外資100%出資が可能。しかし、同一の外国投資家が30店舗を超して設置する場合で、かつ一部の品目(食料、植物油、医薬品、たばこ、自動車、原油、農薬など)を取り扱う場合には、外資出資比率を49%に制限する規定がある。またガソリンスタンドについても、30店舗超を展開する外資系企業は外資出資比率49%に制限される。

フィリピンは、最低資本金が250万ドル以上の場合は外資100%出資が可能(250万ドル未満の場合は外資出資禁止)。加えて、国家経済開発庁(NEDA)が指定する高級品を取り扱う業態では最低資本金が25万ドル以上に緩和される。スリランカについては、外資100%出資が可能だが、最低資本金100万ドル以上であることが条件となっている。

また、タイは卸売業と同様に、「最低資本1億バーツ(約3億1,000万円、1バーツ=約3.1円)未満、かつ1店舗当たり最低資本2,000万バーツ未満の小売業」と「飲食物販売」が外国人事業法で定める外資規制業種となっている。このため、最低資本金1億バーツ以上、かつ1店舗当たり最低資本2,000万バーツ以上の小売業は外資100%出資が可能だ。また、同法では外資出資比率50%未満の企業はタイ企業と定義されるため、50%未満の出資が可能であるほか、1億バーツ未満の場合でも商務省事業発展局の認可取得を条件に50%以上の出資が可能となっている。

マレーシアは、売り場面積などによって詳細な規制がある。外資出資が認められない小売り分野は、売り場面積3,000平方メートル未満の店舗、コンビニエンスストア、食料品店、雑貨販売店、薬局、ガソリンスタンドなどが対象となっている。一方、ハイパーマーケット(5,000平方メートル以上)、スーパーストア(3,000平方メートル以上4,999平方メートル以下)については、最低30%のブミプトラ資本の出資が求められるため、外資出資は70%までとなる。加えて、百貨店、専門店は外資100%出資が可能だが、百貨店は2,000万リンギ(約6億円、1リンギ=約30円)、専門店は100万リンギの最低資本金が必要となる。さらに、ハイパーマーケット、スーパーストア、百貨店では店頭陳列スペースの最低30%はブミプトラ資本の中小企業の商品・製品を取り扱うことが義務付けられている。進出形態によって適用される規制が異なるため、慎重な検討が必要だ。

インドネシアも、マレーシアと似た規制だ。外資100%出資が認められるのは、営業床面積400平方メートル以上のミニマーケット、1,200平方メートル以上のスーパーマーケット、2,000平方メートル以上の百貨店だ。一方、これらの規模に満たない形態や、コンビニエンスストアへの外資出資は禁止されている。国内の零細小売業者を保護することを目的に、小型店舗は規制、大型店舗は認める規制になっていると考えられる。

<ベトナムとインドは参入を認めるも厳しい条件>
一定の条件付きで外資100%出資を認めるものの、その条件が非常に厳格な国としてベトナムとインドが挙げられる。ベトナムについては、2009年1月から小売・流通業で外資100%の出資が可能となったが、2店舗目以降は許可制となっている。2店舗目以降は、小売店舗数、市場の安定度、地域の規模などの要素を検討するエコノミック・ニーズ・テスト(ENT)に基づいて判断され、実質的に2店舗目以降の事業展開が困難な状況にあった。しかし、2013年6月に施行された外資企業の商品売買活動のガイドライン(通達08/2013/TT−BCT号)でENTの基準が緩和され、500平方メートル未満の面積で2店舗目以降を出店する場合には、ENTの対象外となる緩和措置が導入されている。

インドについては、(1)ブランドショップなど単一ブランドの商品を販売する小売業と(2)スーパーやコンビニなど複数ブランドの商品を販売する小売業で外資規制が異なっている。(1)については、政府の個別認可取得と一定条件を満たすことを条件に外資100%出資が認められている。しかし、51%超の出資には、調達額の3割を国内調達(小規模企業から調達することが推奨)することを求める調達規制が適用される。(2)については、「一定条件」を満たすことを条件に51%まで出資可能だが、その一定条件が厳しい内容で、事実上の参入障壁となっている。一定条件とは、最低投資額1億ドル、3年以内にバックエンド・インフラ(ロジスティクス関係、倉庫、製造など)に投資額の50%以上を投資すること、調達額の3割は小規模企業(工場・機械への投資額100万ドル以下の企業)から行うこと、人口100万人以上の都市への進出に限定すること(100万人未満の都市は州政府の許可取得要)、などの条件を満たすことなどが求められる。

また、複数ブランドの小売業については、各州政府が同外資規制を受け入れるか否かを判断する権限が付与されており、2013年12月現在で受け入れているのは、全35州・直轄領中、デリー準州、ハリヤナ州、マハラシュトラ州、アンドラ・プラデシュ州、ラジャスタン州、ウッタラカンド州など計12州にとどまっている。単一ブランドの小売業へ参入する外資系企業は、特に51%以下の出資形態で数多くみられるものの、複数ブランドの小売業は一定条件が高い参入障壁となっている。しかし、2013年12月には英国小売り大手のテスコがM&Aを通じて、インドでスーパーマーケットを展開する方針を発表し、今後の動向が注目されている。

<ミャンマーとラオスは参入が困難>
ミャンマーとラオスについては、小売業での外資参入が禁止されている。ミャンマーは、現在は小売業の外資参入は認められていないと理解される。新外国投資法に基づく施行細則(2013年1月発表)により、2015年以降、投資額300万ドル以上の自動車、オートバイを除く小売業については、外資出資が可能となるとみられているが、同細則には小規模小売業、ミャンマー企業の既存店舗から近接した場所への参入は認められないとも明記されており、具体的な運用がどのようになるか定かでない。ラオスについては、2012年5月以降、小売業については一切の外資出資が禁止された。それまでは出資比率は25%まで可能とされ、また裁量的に小売業への外資出資が認められるケースもみられたが、小売業への外資規制が厳格化されている。

なお、バングラデシュについては、外資参入を禁止する明文規定はないが、投資庁においてサービス業への外資出資に対して個別に審査が行われるため、投資庁との調整が必要とされている。

(椎野幸平)

(ASEAN)

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