日本との租税条約改正議定書に署名、投資交流促進に期待

(日本、スウェーデン)

ストックホルム事務所

2014年01月06日

日本政府とスウェーデン政府は2013年12月5日、ストックホルムで「日・スウェーデン租税条約改正議定書」に署名した。今後、両国での国内手続きを経て発効する。新条約には、配当、利子、ロイヤルティー使用料に対する源泉地国免税の対象拡大や税率引き下げなどが盛り込まれており、両国間の投資交流拡大に寄与すると期待されている。

<投資所得に対する課税の軽減・免除を拡大>
2013年12月5日にストックホルムで、「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書」(日・スウェーデン租税条約改正議定書)の署名が行われた。この改正議定書は、現行条約(1983年発効、1999年一部改正)の内容を部分的に改正したもので、新条約は、両国においてそれぞれの国内手続き(日本においては国会の承認が必要)を経た後、国内手続きの完了を相手国に通告し、遅い方の通告が受領された日の後30日目に効力が生じ、以下について適用される。

(1)源泉徴収される租税に関しては、効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に支払われ、または貸記される額
(2)所得に関するその他の租税に関しては、効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の所得

投資所得(配当、利子、ロイヤルティー使用料)については、源泉地国(所得が生じた国)での課税を軽減または免除するという世界的潮流の中、日本とスウェーデンとの間でも源泉地国における課税の軽減または免除を拡大している(表参照)。

投資先の国における投資所得に対する課税の軽減や免除

源泉地国課税を免除する範囲が大幅に拡大したことに伴い、条約を乱用した租税回避の恐れが増大する。これを防止するため、以下のような規定を設けている。

(1)条約の特典を受けることができるものを、一定の要件を満たすもの(一方の締約国の居住者が個人、政府、株式が特定の有価証券市場に上場される法人、年金基金、特定の団体などであること)に限定
(2)取引の目的に照らしてその取引が条約の乱用と認められる場合には、条約の特典を認めない

条約の規定に適合しない課税に関する相互協議手続きにおいて、両国の税務当局間の協議により3年以内に事案が解決しない場合には、納税者からの要請に基づき、第三者からなる仲裁委員会の決定に基づき事案を解決することを本条約では新たに規定している。

<両国当局間の情報交換や徴収共助も拡充>
また新条約は、両国の税務当局間で、両国の全ての国税および地方税に関する情報を、相互に交換することを規定している。

相手国の租税債権の徴収を相互に支援する制度(徴収共助)は、現行の条約では条約乱用の場合に対象範囲が限定されているが、改正後は滞納されている租税・債権一般について適用されるように対象範囲が拡大される。日本の租税については、所得税、法人税、復興特別所得税、復興特別法人税、消費税、相続税、贈与税が対象となり、スウェーデンについては、国税である所得税、配当に対する源泉徴収税、非居住者に対する所得税、非居住者である芸能人および非居住者であるスポーツ選手に対する所得税、地方税である所得税、付加価値税、不動産税、純資産税、相続税、贈与税が対象となる。

詳細は財務省の「日・スウェーデン租税条約改正議定書のポイント」および「改正議定書」を参照。

(三瓶恵子)

(スウェーデン・日本)

ビジネス短信 52bbc8b683978