2%成長を予測、緩やかに景気回復か−2014年の経済見通し−
ブダペスト事務所
2014年01月09日
国家経済省は2014年度予算案の中で、2014年の実質GDP成長率を2.0%と予測した。2012年にマイナス成長となった国内経済は、2013年に入って農業、建設業、産業部門が回復、緩やかな改善の兆しをみせ、2013年の成長率は0.9%となる見通しだ。政府は4年間続いた景気後退から回復期に転換したとしており、2014年以降の経済成長が期待される。
<2013年は0.9%成長の見込み>
国家経済省は2014年の実質GDP成長率を2013年10月に2.0%と予測、2013年4月時点での予測値(1.9%)から上方修正した。2013年に入って、農業、建設業、自動車などの産業部門が緩やかに回復し、2013年の実質経済成長率は0.9%となる見通しで、2014年以降もプラス成長が続くとみている。
GDPを需要項目別にみると、2013年に2度に分けて家庭向けの電気・ガスなどエネルギー料金の強制引き下げを実施したことにより、家計の可処分所得が増え、消費者の購買力が上向いてきた。それを受けて2013年の個人消費は0.6%増、2014年は1.9%増を見込む。
<設備投資が急増の見通し>
総固定資本形成は、自動車部門などの製造業をはじめ道路建設、鉄道線路建設・改修工事、上下水道設備や洪水対策工事などの投資需要が伸び、2013年は0.2%となる見込み。また2013年4月からスタートした国立銀行(中央銀行)の中小企業向け融資プログラム「成長のための資金調達スキーム」により、市中銀行が中小企業に低金利融資を行う場合に国立銀行が低利で市中銀行に融資を行う施策が功を奏し、今後も企業の投資活動が活発化していくと予想され、2014年の総固定資本形成は5.9%増を見込んでいる。
外需については、欧州の景気回復に伴う自動車・関連部品の輸出および生産増加により、2013年は輸出入とも4.5%増の見込み。2014年も引き続き自動車関連の輸出・生産増が期待され、輸出は5.8%増、輸入は6.2%増と予測されている。
消費者物価上昇率は2012年に5.7%と高水準になったものの、2013年に入り付加価値税(VAT)率引き上げの影響が和らいだことや、前述のエネルギー料金強制値下げの実施などにより、1.9%と低く抑えられる見込み。2014年は2.4%の見通し。
2013年の名目賃金上昇率は3.3%と前年から伸びは抑えられたが、2013年9月から教員の就労規定が変更され、労働時間が増加したことに伴い、教員の賃金が平均34%上昇し、一部では大きく上昇した。2014年の法定最低賃金が2013年の9万8,000フォリント(約4万9,000円、1フォリント=約0.5円)から3.57%増の10万1,500フォリントに決定したことなどから、2014年の名目賃金上昇率は4.5%に上がる見込み。
雇用者数は政府による求人保護行動計画、公共雇用斡旋(あっせん)プログラムの延長の結果、順調に増加し、失業率は2013年6月に4年ぶりに10%を切った。政府が2014年も公的部門の雇用斡旋プログラムを継続する意向であることに加えて、良好な経済環境による民間企業の雇用拡大が進むとみて、2014年の失業率は9.9%と、国立銀行は予測している。
<財政赤字の削減は進まず>
EU加盟以来続いていた過剰財政赤字是正手続き(EDP)が2013年6月に解除された。しかし、欧州委員会は同時に7分野(a.持続的な財政措置、b.金融部門への課税、c.税制、d.労働市場と貧困、e.ビジネス環境、f.教育、g.エネルギー・交通分野)についての是正策を要請している。2013年の財政赤字のGDP比は2012年と同じく2.7%を予測しているが、2014年の財政赤字は1兆2,252億フォリントで、GDP比2.9%に上昇する見込み。
(柴田多佳子、バラジ・ラウラ)
(ハンガリー)
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