輸入者はC/Oの署名者登録を確認して対処を−署名者が未登録との理由でC/Oを無効とされた場合−
ハノイ事務所
2013年12月04日
最近、当地日系企業が経済連携協定(EPA)税率の優遇を受けるため、企業の所在地を管轄する最寄りの税関支局に日越経済連携協定(JVEPA)に基づく原産地証明書(C/O)フォームJVを提出したところ、C/O発給機関の署名者が登録されていないという理由で拒否されたケースが何件かあった。このような場合、輸入者は輸出者に連絡し、C/Oを発給している指定発給機関や関連官庁などに問い合わせ、署名者の登録をしているか否か確認する必要がある。
<日本では日本商工会議所がC/Oの指定発給機関>
ベトナムや日本において輸出者がC/Oの発給を受ける場合、第三者証明制度を利用している(日本の一部のEPAは認定輸出者自己証明制度もある)。第三者証明とは「相手国に輸出する物品について、相手国での関税面での優遇を受ける場合、輸出国の権限のある指定発給機関が協定上の原産品であることを判定し、C/Oを発給する制度」のことだ。
C/Oは署名と公印は登録されたものでなければ有効ではない。ベトナムでは、自由貿易協定(FTA)関連は商工省各地方輸出入管理課、一般特恵関税制度(GSP)フォームAなどは、ベトナム商工会議所(VCCI)が指定発給機関の役割を果たし、C/Oの発給を行っている。一方、日本では日本商工会議所が指定発給機関となっている。
また、JVEPAでは「締約国は、権限のある政府当局またはその指定団体がある場合には、当該指定団体について、名称および住所の一覧表ならびに原産地証明書の発給に使用する署名の見本および公印または印章の図案の一覧表を他方の締約国に提供する」と規定している。
そのため、日本側は外務省、在ベトナム日本大使館を通してベトナム税関総局、省税関局、さらに支局である最寄りの税関支局にこの一覧表を提供している。税関当局はこの一覧表を確認してC/Oの適用を決めている。
なお、ASEAN+1でFTAを締結している場合でも、輸出する締約国側がASEAN事務局に同様の資料を提供し、その後ベトナム税関総局、省税関局、最寄りの税関支局に提供されている。
<署名者の登録を確認すれば問題が解決した例も>
また、輸入国側の税関が、輸出国が発給したC/Oについて疑義がある場合、輸出締約国側に情報提供を求めることができる。JVEPAの場合、C/O発給当局は情報提供を求められてから90日以内に返答しなければならない。
しかし最近、ベトナムにおいて税関当局が日本を含め輸出締約国側の権限のある政府当局に情報提供を要請せず、C/Oを無効とするケースが多い。
こうした場合、まず輸入者の所在地を管轄する税関支局に無効となった理由を聞く必要がある。その後、輸入者は輸出者に連絡し、C/Oを発給している指定発給機関や所管官庁、外務省などに問い合わせ、署名者の登録をしているのかどうか確認することをお勧めする。ジェトロにも同様の相談があり、前述の機関に問い合わせて署名者の登録を確認し、問題が解決したケースもある。
(佐藤進)
(ベトナム)
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