税関からHSコードの間違い指摘相次ぐ−書面での事前確認も1つの方法−

(ベトナム)

ハノイ事務所

2013年11月28日

最近、進出日系企業から、輸入していた部材・原材料のHSコードが間違っているとベトナム税関に指摘され、高い税率が適用されたとの相談が、ジェトロに多数寄せられている。HSコードに関する事前教示制度はあるものの施行細則がないため、制度運用が確立されておらず問題解決は難しい状況だが、オフィシャルレターなどで最寄りの税関(支局)に確認する方法もある。

<最近になってHSコードの間違いを指摘されるケースも>
HSコードは「類(上2桁)」(第1〜97類)、「項(上4桁)」、「号(上6桁)」に「統計細分(7桁以下)」を加えた番号からなり、桁数が増えるごとに品目の詳細が特定される。号までは世界共通で、それ以下は各国ごとで定められている(日本は9桁、米国は10桁)。ベトナムは以前12桁だったが、2012年1月以降、ASEANの共通となっている8桁に変更している。

税関で輸入申告する際にHSコードの間違いを指摘されるケースは主に2つある。輸入していた部材・原材料のHSコードが間違っていると指摘されるケースと、3〜4年ごとに行われる税関による事後調査で指摘されるケースだ。

例えば、ある日系企業は税関に、輸入していた部材のHSコードが間違っていると指摘された。それまで適用されていたHSコードの輸入関税は0%だったが、新たに適用されたHSコードでは5%の関税が課せられるとともに、さらに過去の分までさかのぼり数万ドルの追徴課税を請求されたケースがある。このような状況は2012年から目立っていて、景気減速感による税収不足も背景の1つといわれている。

解決方法として、税関の指摘に疑義がある場合、税関支局の上級に当たる省の税関局にオフィシャルレターを送付し、HSコードの再分類を請求できる。省の税関局は各工業団地や他の省に支局を置いている。例えばハイフォン税関局は10の支局がある。省税関局が下した分類に同意できない場合、全国の税関を管轄する税関総局、最終的に税関総局を管轄する財政省に請求できる。しかし、回答までにはかなりの時間がかかることが予想される。

<確立されていない事前教示制度>
通常、原材料や部材を輸入する場合、口頭でHSコードを税関に問い合わせることが多い。しかし口頭ではHSコードに正確性を欠く恐れもあり、こうした情報は単なる参考情報として扱われる。正確性を期すためにも、文書による事前教示制度を活用するという方法がある。「文書による事前教示」とは、輸入を予定している商品のHSコードと関税率などを文書で税関に照会し、その回答を受けることができる制度だ(詳細はジェトロウェブサイト参照)。

同制度は日本やASEAN諸国(一部の国を除き)にもある。ベトナムでは2010年4月12日付財政省通達49/2010/TT−BTC号の中に同制度が規定されている。通関申請者が所定のフォームに関連資料をそろえて、通関手続きを行う税関支局にHSコードと税率を照会し、その回答を受けることができた。ただし、通達49号に規定される事前教示制度は情報提供のサポートだけで、事前確定という機能はなかった。

しかし、2013年7月1日施行された税務管理法(21/2012/QH−13)で、税関がHSコードを分類評価して事前確定すると規定されたことから、通達49号での事前教示制度に関する規定は無効となった(同法第1条12項に規定)。事前確定に関しては細則(政令、通達)に規定する予定という。このため、現在はHSコードを事前に確定させることができない。

税関からいったんHSコードの間違いを指摘されると、その指摘が明らかに間違いではない限り、迅速に解決を図るのは困難だ。場合によっては、他国の事例など、税関に説明できる証拠を準備することが必要となる。事前教示制度が確立されていない状況だが、オフィシャルレターなどで最寄りの税関支局に確認する方法もある。

(佐藤進)

(ベトナム)

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